高齢者が賃貸物件に引越しする際に注意したいこと
高齢化が進み、それに伴い、全国で一人暮らしの高齢者が増加しています。また、一人暮らしではない夫婦でも寂しさや利便性を考えて、地方での一軒家暮らしを捨て、都会の賃貸マンションに引っ越す人も増えているそうです。今回は、高齢者が賃貸マンションに引っ越す際に注意すべきことについて解説します。
近年、地方の一軒家に住む高齢者が都会の賃貸マンションへと引越すというケースが散見されています。こうしたケースにはどのような背景があるのでしょうか?
1つは、子どもが巣立ったり、配偶者に先立たれるなど家族との別れにより、一軒家での生活が不便になっていることが挙げられます。独りになり一軒家のような広い家に住む必要がなくなった、掃除や環境の維持が大変などの理由から一軒家を手放す人もいます。
また、一軒家に住む人の多くが郊外や地方で暮らしているため、スーパーや病院など高齢者の生活に欠かせない施設までのアクセスが不便な場合があります。都会ならスーパー、コンビニなどが徒歩圏内にあったり、バスや電車などの公共交通機関も充実していたりするので病院などの施設へのアクセスも便利です。さらに近年はアクティブな高齢者も増えており、都会の方が仕事や趣味など活動の機会を得やすくなります。こうしたことから、都会の賃貸物件に住む高齢者が増えてきています。
一般的に「高齢者は賃貸契約するのが難しい」と言われています。高齢者の定義は65歳以上とされていますが、高齢化社会が進んだとはいえ、近年の65歳は元気でアクティブな人も多いのが事実。元気なお年寄りが増えている中で、高齢者だからといって賃貸マンションの契約ができないのはおかしいのではないか?と疑問に思う人もいるかもしれません。
しかし、大家さん側の視点に立てば、現時点では元気でも、高齢になるにつれ、どうしても健康面でのリスクが高まるほか、定年退職によって定期収入がなくなってしまうなどの理由から、高齢者の入居を敬遠したくなるのは仕方がないことかもしれません。
実際、国土交通省が平成28年に作成した「家賃債務保証の現状」においても、約6割の大家さんが「高齢者の入居に拒否感」を感じ、11.9%が単身の高齢者(60歳以上)に対して入居を制限しています。
それでも賃貸マンションに住んでいる高齢者はいます。高齢者に限らず、賃貸物件を契約するにはさまざまな条件がありますが、高齢者が賃貸物件に引っ越すとしたら、どのような条件が必要になるのでしょうか。
●家族・親族が近くに住んでいる
高齢者が入居を制限される最大の理由が健康面の問題です。病気になった場合でも家族や親族が近くにいてケアできる状態であることが分かれば大家さんも安心です。特に自分の子どもが保証人となり、近くに住んでいることが証明できれば入居の可能性が高まるでしょう。
●収入を証明できる
賃貸マンション等では定期収入が見込めなければ家賃滞納の可能性があるため契約できません。年金や就労所得などで十分な収入がある場合は問題ないかもしれませんが、そうでない場合には新たな仕事に就く、預金残高の証明や子どもからの仕送りなど、なんらかの定期収入があることを証明する必要があるでしょう。
●携帯電話を持っている
いつでも連絡ができる携帯電話は必須と言えるでしょう。ほとんどの人が持っているとは思いますが、高齢者の中には、家の固定電話しか使ったことがないという人もいるかと思います。賃貸物件を契約する前に携帯電話を契約しておくと良いでしょう。
高齢者が賃貸マンションに引越すにはさまざまなハードルがあることはわかっていただけたと思いますが、より賃貸を契約しやすくなるための物件選びのコツを紹介します。
●家賃債務保証の対象物件を探す
高齢者の方で、十分に家賃を支払えるかどうか自信がないという人は「家賃債務保証」という制度を利用すると良いでしょう。家賃債務保証とは、一般財団法人「高齢者住宅財団」が施行している制度で、家賃を滞納してしまった場合、最高12ヶ月分を代わりに支払ってくれる制度です。
平成29年に改正された住宅セーフティネット法により、60歳以上の条件を満たした高齢者の場合、この制度を利用することができます。ただし対象物件はそれほど多くはないので、早めに申し込む必要があります。
●シニア向け物件を探す
最近は高齢者でも入居が可能な「シニア可物件」や、もともと高齢者を対象とした物件も増えてきています。こうした物件にはバリアフリーや家事、介護などのサポートが付随しているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などがあります。
通常の賃貸物件に比べると保証金や家賃は高いですが、身寄りのない高齢者にとっては安心と言えるでしょう。また、金銭的に余裕のある人は、分譲タイプのサ高住を購入する人もいます。
いかがでしたか?
高齢者が賃貸物件を契約するにはさまざまな注意点があることに気付いていただけたと思います。特に一人暮らしの場合には、入居や契約はもちろんのこと、引っ越し準備なども一人で行うとなると大変です。そういう意味でも、物件選びや各種サービスへの申し込みなど賃貸物件への引越しは自分が想像するよりも、スケジュールに余裕を持って準備することをオススメします。
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