近年、空き家問題に象徴されるように、田舎における人口減少が問題となっています。
それに伴い、「お墓が遠いため管理が大変」「お墓を守ってくれていた親戚がいなくなった」「お墓参りのたびに出費がかかる」という悩みを抱える人が増えてきています。
そんな中、注目を集め始めているのが「お墓の引っ越し」。今回は、新しいお墓のスタイルとも言える「納骨堂」へのお引越しについて紹介します。
ライフスタイルの多様化から生まれた「納骨堂」は、個人や夫婦といった単位で遺骨を室内に納めるお堂のことです。ロッカー式のものをはじめ、墓石を置くタイプの室内墓所、仏壇や位牌などとセットになった納骨壇などその種類はさまざまです。
従来の「先祖代々の墓を守っていく」という概念にとらわれることなく、新しいお墓のスタイルとして、近年、注目を集めています。
納骨堂は宗派などの宗教的制限が少なく、管理費もお墓に比べ安くすむのが特徴です。また、生前から申し込むことができ、承継者がいなくなった場合においても永代供養してくれるという点が人気の的となっているようです。
近年人気の高まりを見せる「納骨堂」ですが、なにも考え方の新しいお寺だけがはじめたサービスではありません。歴史のある由緒正しいお寺でも納骨堂をスタートしていることをご存知でしょうか?
●創建400年の築地本願寺が合同墓をスタート
東京・築地にある浄土真宗本願寺派の築地本願寺が2017年にスタートさせたのが「合同墓」。
いわゆる納骨堂と同じサービスで、地下に設置された合同墓には礼拝堂に阿弥陀如来が祀られており、僧侶による読経も毎日行われるのだとか。
納骨前の宗教や宗派を問われることはありませんが、読経などの儀式は浄土真宗にのっとって行われます。申し込みは個人単位なので生前予約が原則となりますが、別のお墓から遺骨をお引越しさせることも可能です。費用は、個別保管で50万円からと格安な上、年間の管理費用も不要となっています。
●夫婦壇で注目を集めた実相寺
寛永11年(1643年)創建という由緒正しい「実相寺」も青山霊廟に納骨堂を設けています。
青山霊廟では、代々受け継いでいく「家族壇」「特別壇」と承継者が必要ない「夫婦壇」「個人壇」という4つのタイプがあります。すべてロッカー型となっていて、費用は例えば夫婦団の合祀墓の場合、永代供養33年で160万円となっています。
●徳川将軍家にゆかりの深い「天妙国寺」の納骨堂
東京・品川に位置する顕本法華宗別格山「天妙国寺(てんみょうこくじ)」は、初代・徳川家康、二代・徳川秀忠、三代・家光が来遊したことから、徳川家将軍ゆかりの名刹として知られています。
そんな天妙国寺には納骨堂「鳳凰堂」と合祀墓「法界萬霊供養塔」があり、2017年に合祀堂「報恩」が新設されました。
急増する改葬に対応するべく、遺骨の乾燥施設も付いているのが特徴となっています。費用は地下の合祀墓で15万円、地上の合祀壇は35万円となっています。会費や管理費などは不要です。
●開山400年の「一行院」はICカードでの参拝が可能
浄土宗一行院は明治神宮外苑に隣接しているアクセス便利な寺院として知られています。2017年には開山400年を記念して屋内墓苑「一行院 千日谷浄苑 納骨堂」を開設しました。
2020年東京五輪の新国立競技場の設計で有名な建築家・隈研吾氏による、伝統とモダンが融合したデザインが目を引きます。また、参拝者は受付でタッチパネルにICカードをかざすシステムとなっています。ICカードによって照合された厨子(ずし)が、参拝ブースに自動で運ばれてきます。個人の遺影や戒名をモニターに映しだすサービスもあるのだとか。
費用は1区画90万円~。
●タッチパネル式の納骨堂「メモリアル八潮 慧光殿」
埼玉県八潮市にある「法華宗 旭光山 妙法寺」は境内に永代供養・納骨堂「メモリアル八潮 慧光殿」を設けています。純クリスタルでできた釈迦如来坐像を本尊とし、タッチパネルで名前を入力すると、納骨堂に収められているお仏壇が光の中に浮かび上がるという斬新な仕組みで話題です。永代供養料は30万円~。
納骨堂のことを初めて知った方には従来のお墓参りの常識が覆ったのではないでしょうか。
納まるお墓がないという方が増えていく、これからの時代。
納骨堂での永代供養を望む人はますます増えてくるのではないでしょうか。特に納骨堂は個人による生前予約が可能なので、終活を考えている人は一考の価値があるでしょう。
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