知りたい！シチュエーション別&特殊な引越しマニュアル 子育てを意識して引越しを決意する。
「子育て移住」の考え方 知りたい！シチュエーション別
&特殊な引越しマニュアル

首都圏などでは近年、保育園の待機児童問題や新型コロナウイルス感染症の不安などから子育てがしにくいと感じる人が増えています。確かに、田舎に引っ越せば、保育園も待機なしで入園でき、新型コロナウイルスの感染リスクも下がります。
さらに、企業でのリモートワークが浸透しつつあり、子育てを目的とした「地方移住」がしやすくなったと言われています。そこで今回は子育てを意識して引っ越しを考えている人向けに、地方移住のメリット・デメリット、地方自治体での支援制度について紹介します。

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が2020年5月に行ったWebアンケートによれば、東京圏（人口約3800万人）に在住する20～59歳の49.8％が「地方移住に関心がある」と答えました。
非常に多くの人が地方移住に関心を寄せていることが分かりますが、このように地方移住が注目されるようになったのには、以下のような理由があります。

●人口過密な都市では子育てがしにくい

顕著な問題としては「保育園の待機児童問題」が挙げられます。人口が過密状態の都市部では入園希望者が保育園の受け入れ可能な児童数を上回り、入園できない児童が多くいます。そのため、共働きをしようと思っても保育園に預けることができない場合や、シングルペアレントが働けないなどの問題が起きています。また、人口過密の都市では、週末のお出かけでの満員電車や待ち時間など、子どもにとってストレスとなる要因が多く、子育てに疲れてしまうというケースがあります。

●価値観やライフスタイルの変化

これまでの子育てでは、いわゆる「いい大学に行き、いい会社に就職する」という目的のため、より高い水準の教育を目指すのが主流でした。しかし、近年の子育て世代は、「自然がいっぱいの地方でのびのびと子どもを育てたい」「ストレスの少ない環境で仕事をしたい」という考え方をする親が増えてきました。こうしたことから地方移住が注目されています。

地方移住を検討する子育て世代の多くが「豊かな自然の中で子どもを育てたい」と考えているようです。しかし、メリットは自然だけではありません。実際のところ、子育て移住を行った場合にはどのような良いことがあるのでしょうか。

●健康に良い

自然豊かな環境は大人だけではなく、子どもの健康にもメリットが大きいことが分かっています。体質だけではなく、海や山、川が近くにあり、夜はきれいな星空を眺められるといった環境は、精神面にもメリットがあると言われています。

●家賃・物価が安い

子育て世代にとって一番の課題は経済的な問題です。都市部と比較すると家賃（地価）が安い、物価が安いというのは大きなメリットです。子どもの成長や家族が増えたりすることも考えれば、それに合わせて住まいも広く、部屋数も多くしていく必要があるため、生活インフラはなるべく安いほうが助かります。

●思い切り遊べる場所が近い

都市部の公園では、ボールを使っての遊戯が禁止、大声を出すと近隣の迷惑になる、公園自体が狭いなど、子どもをのびのびと遊ばせることができない場合もあります。田舎に行けば、広い公園が数多く点在するほか、ボール遊びや大声を出しても問題ないことがほとんどでしょう。

●待機児童問題を解消しやすい

保育園や幼稚園、学童に通わせることができないということを機に、都市部を離れるという人もいるほど、子育て世代にとっては深刻な待機児童問題。人口密度が低く、受入人数に余裕のある地域に行けば、そのような心配がありません。また、児童数が少ないことで保育士さんの目も行き届きやすいので安心して子どもを預けられるでしょう。

子育て移住のメリットがたくさんあることは分かりましたが、人によってはデメリットを感じることもあります。意外と気づきにくい地方移住のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

●移住先での仕事が少ない

地方に移住してから就職先を見つけるというのは、簡単ではありません。人口が少ないということは仕事も少ないということ。移住前の職種に就ける保証はありませんし、自分が好きな仕事に就けるとも限りません。また、地方では賃金も安くなる傾向にあるため、収入が減ることも覚悟しておくべきです。

●教育や習い事の水準が低下する可能性

子どもに質の高い教育を受けさせたいと考える親は多く、塾や私学に通わせていることも珍しくありません。さらに、放課後には習い事をしている子どもも多くいます。しかし、田舎に行けば、都市部で受けさせていたような教育機関や習い事の教室があるとは限りません。例えば、移住前にはピアノを習っていたが、移住先の近所にはピアノ教室がないためピアノをやめてしまった、ということはあり得ることです。

●虫や動物が苦手な人には向かない

自然の豊かさがメリットである反面、都会では見られないような虫や動物が出るため、田舎での生活が不安になるという人は結構います。都会で育ってきた子どもの中には虫嫌いの子どもも多く、慣れるまでに時間がかかることが予想されます。

地方移住にはメリットやデメリットがあることは分かっていただけたと思います。各地方自治体は、デメリットが少なくなれば移住者の増加が見込めるということで、移住者増加対策としてさまざまな支援制度を設けています。
各自治体で、その地方の特色に合わせた支援制度があるので、移住前にじっくりと比較したいところです。ここではそんな支援制度をいくつか紹介します。

●仕事探しにうれしい：東京23区から石川県内に移住で最大100万円を支給

石川県では、移住・定住の促進と県内の中小企業等における人手不足の解消を目的とする「いしかわ移住支援事業」を行っています。中でも東京23区からの移住者を対象に、U・Iターンのポータル求人サイト「イシカワノオト」に掲載された求人で就職した世帯・個人に、移住支援金として最大100万円を支給しています。

●住宅探しにうれしい：助成金も見つけやすい長野県の空き家バンクサイト「楽園信州」

長野県では空き家を探せるポータルサイト「楽園信州」が移住者に人気です。空き家を簡単に見つけられるのはもちろん、空き家利用で受けられる助成金一覧や各市区町村で実施している移住者のための助成制度についてもリスト化されているので探しやすくなっています。

●子育てにうれしい：中学3年生まで医療費が無料となる愛知県設楽町

子どもの医療補助制度を掲げる自治体は数多くありますが、その多くが小学校または中学校卒業まで、一部負担金が必要となる場合もあります。
そんな中、愛知県設楽町では中学卒業まで医療費を全額補助、高校卒業まで保険診療適用分について全額補助という医療費助成を実施しています。