地方移住を決意してお引越し。空き家を購入する時の注意点とは
近年、都会の喧騒を離れ、自然豊かな田舎でのびのびと暮らしてみたいという20~30代の若者が増えています。そのせいか、「地方移住」はかつての定年退職後の楽しみではなく、新しい子育て世代の中核的なライフスタイルとして注目されつつあります。
そんな注目の地方移住ですが、一番の問題は住まい探しです。
意を決して、新築を購入される人もいるようですが、地方移住で何かとお得なのは、リノベーションが可能な「空き家」の購入です。とはいえ、空き家などの中古物件を購入する時は、欠陥などを見つけにくいことから、いろいろと気をつけるべきポイントがあります。
そこで今回は、地方移住で空き家を購入する際の主な注意点について紹介します。
地方移住人気の背景には、政府の地方創生政策である「移住支援金」や「起業支援金」などが後押ししてきました。中でも、地方自治体が取り組んでいる空き家の仲介サービス「空き家バンク」に注目が集まっています。
空き家バンクは、空き家所有者が登録した情報を、空き家の利用希望者が閲覧できるよう公開した、いわば空き家のマッチングサービスです。通常よりも安く空き家が購入できるほか、空き家バンクを通じて購入または賃貸することで自治体の補助金制度も利用できるとあって、地方移住者が引っ越しを考える上で中心の家探しサービスとなっています。
【空き家バンクのメリット】
●とにかく格安で空き家を購入・賃貸できる
空き家バンクでは、移住を促進するために通常よりも安価で借りられたり、購入できたりします。また、不動産仲介業者を介さず所有者と直接交渉できる物件も多いので、仲介手数料などが不要になるケースも多数です。
●地方自治体の補助金制度を活用できる
空き家バンクは地方自治体が運営しており、さまざまな補助金制度が用意されています。例えば長野県飯田市では、空き家の改修工事費を最大50万円まで補助してくれます。このように空き家にスムーズに入居するための補助制度はたくさんあるので、住みたい自治体のサイトを見てみましょう。
●地域活性化に貢献できる
金銭的なメリットだけでなく、空き家バンクを利用することは地域の人口流入につながるため、最終的には地域の活性化につながる可能性が高まります。例えば、空き家バンクを利用して「古民家カフェ」を開く人もいて、今までその地域なかった憩いの場ができるなど地域に貢献もできます。
【空き家バンクのデメリット】
空き家バンクを活用した地方移住には、さまざまなメリットがあるのがわかっていただけたかと思います。しかし、中古物件の購入や賃貸は現実的にはさまざまなトラブルがあるのも事実です。
●物件の所有者との直接交渉のためトラブルになりやすい?
空き家バンクに掲載されている物件は、不動産業者などが仲介せずに所有者が直接登録しているケースが多くあります。また、空き家バンクを運営している自治体も契約や交渉に関与することはありません。そのため、所有者と直接交渉・契約することになりますが、法律などに詳しくない者同士での契約はやはり不安がつきまといます。そうしたトラブルを解消するため、地元の宅建業者に仲介に入ってもらうようお願いしている自治体もあります。
●物件情報の詳細は掲載されない
空き家バンクに掲載されている物件は、空き巣被害やいたずらなどの被害を避けるため、物件情報を詳細まで掲載してないケースがあります。そのため、物件の詳細を知るには、内見することが必要となります。地方にまで足を延ばして、一軒一軒見て行くのは非常に労力がかかります。
このように、空き家バンクを利用する場合はメリットとデメリットは表裏一体。中古住宅を購入もしくは賃貸をする場合は注意が必要です。
次に、中古住宅を購入する場合の注意点を見てみましょう。
空き家などの中古住宅の購入は、新築の住宅を購入する場合よりも複雑です。それは、リノベーションや修理などが必要な物件がほとんどだからです。それでは、どのようなことに気をつけて購入するべきなのでしょうか。初めて中古物件を購入しようとしている人は特に以下の3つのことに気をつけると良いでしょう。
1.物件情報については、自分で確かめ精査する
空き家バンクには、物件の詳細な情報が掲載されていないケースが多くあります。そのため、空き家バンクを利用して中古物件を購入するには、現地に出向き、じっくりと内見する必要があります。これはデメリットとして紹介しましたが、実は自分の足で物件情報を集めることは非常に重要な作業です。今やネットを使えば物件情報はかんたんに集めることができますが、中古物件の経年劣化による磨耗・損耗は当然のこと、水道や電気設備の故障・不具合もありえます。どの程度の修理、リノベーションが必要なのかは、ネット情報だけではわかりにくいものです。
また、実際に見てもどれほどの瑕疵があるのかは、素人ではわかりません。できれば建築士などの専門家に帯同してもらうのがベターです。
実際に所有者に話を聞くことも大切な作業です。空き家バンクでは不動産仲介業者を介していない物件が多いため、契約・交渉が当人同士となるケースもあります。その場合、コミュニケーションが円滑かどうかも重要になります。
2.費用を把握する
中古住宅は新築住宅よりも価格が低いのが魅力ですが、リノベーションが必要になることがほとんどです。このリノベーションにどれくらい費用をかけられるかによって快適な住宅になるかどうかが決まると言ってよいでしょう。そのため、リノベーションの見積もりの時点で、非常に細かく見ていく必要があります。「リノベーションに必要な項目が全て入っているか」「価格は適正か」など、購入後に想定外の出費がないよう、注意して見積もりを取りましょう。これらリノベーションの見積もりと購入費用を合わせて本当にお買い得な物件なのかどうかを見極めることが大切です。
また、自治体の補助金制度をどれくらい利用できるのかについても調べて、費用全体を把握しましょう
3.最悪のことを想定して契約する意識が大切
中古物件を購入し、契約を交わしてからリノベーションを行うことになりますが、リノベーションを始めてから、不具合や破損が見つかるケースもあります。購入後、物件に欠陥があった場合に保障する責任のことを「瑕疵担保責任」と呼びます。瑕疵担保責任は売り主側にありますが、どのような瑕疵かについても責任を負わなければいけないわけではありません。一般的にはシロアリや雨漏りといったものに対しての責任であり、しかも期間は一定的です。そのため、契約を交わす場合は、契約書を熟読し納得できる形で契約するようにしましょう。
中古物件は新築物件に比べると、資金的に気軽に購入できると考えている人は多いと思います。しかし、実際は逆で、中古物件の購入は新築物件よりも注意点が多くなります。
中古住宅の選び方、買い方を間違えると、地方移住は失敗してしまいますので、地方移住の拠点となる住宅選びは、ぜひとも慎重に行ってください。
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