転出・転居届・転入届
引越における公的な手続きとして「転出・転居届」があります。転出届、転居届は住民票に関わる重要な書類であり、届けるには印鑑が必要になるなど、覚えておくべきポイントがあります。ここでは、転出届・転居届(転入届)について解説します。
「転出届」「転居届」はどちらも旧住所側の役所に提出する書類です。よく似ているので、違いがわかりにくいという人もいることでしょう。
●転出届とは?
転出届は現在住民票を登録している市区町村から別の市区町村へ引っ越す時に必要な書類のことです。転出届を提出すると、現在住民票の籍がある市区町村の住民基本台帳から自身及び家族の住所が抹消されるので、新しく住民票を登録する市区町村で転入届を出さなければいけません。
●転居届とは?
転居届は現在住民票を登録している市区町村と同じ市区町村内で引っ越す場合に必要な書類になります。こちらは同一の市区町村なので、引越前に提出することはできませんが、転入届の役割も兼ねているので、転入届は提出不要となります。
●転出届、転居届(転入届)での注意点
転出届と転居届、転入届は元住所と新住所によって提出の仕方が変わります。
例えば、大阪市中央区から堺市など他市に引っ越す場合は、転出届を出した後、堺市で転入届を出す必要があります。大阪市中央区から、大阪市北区と同一市だが違う区という場合には転入届を出すだけで、転出・転居届は不要です。
これらは主に政令指定都市によく見られるルールですが、東京23区内で引越す場合は、転出届と転入届の両方の提出が必要になるなど自治体によって異なるので、必ずどの書類が必要なのか、現住所と新住所の管轄役場のホームページで確認しましょう。
●現在のお住まいから他の市区町村へ引越す場合
引越の2週間前から引越当日までに、現在お住まいの市区町村役場へ「転出届」を提出し、「転出証明書」を発行してもらいましょう。「転出証明書」は新住所への転入手続きなどで必要になるため、大切に保管しておきましょう。転出を届け出る際は、運転免許証やパスポートといった身分を証明できるものと印鑑が必要になります。また、手続きは本人、世帯主以外にも、委任状があれば代理人が行うこともできます。
万が一、何らかの理由で引っ越し前に提出できなかった場合でも、引っ越し後14日以内であれば手続きが可能です。しかし、それ以上の期間を過ぎると、裁判所から過料という罰則を受ける可能性がありますので注意しましょう。また、転出届・転居届・転入届の提出期限は、引越しの前後2週間です。特に、転入届・転居届は提出せずにいると、最大5万円の過料(罰金)がかかることがあるので、期間内に提出しましょう。
●現在のお住まいから同じ市区町村へ引越す場合
現在のお住まいと同じ市区町村内に引越す場合は、「転出届」の手続きは不要となり、引越後の14日以内に「転居届」を提出する必要があります。身分証と印鑑を忘れずに持参しましょう。また、先述の通り同市内で他区町村への引越しの場合は転入届だけを提出しますが、これも引越し後の14日以内に提出しなければなりません。ただし、同じ市内で別の区へ引越しをする場合、引越し前の区で転居届の手続きができる自治体もあります。
転出届・転入届・転居届を提出する際は役所に出向く人が多いと思いますが、公的書類を作成するため、本人確認書類などさまざまな持ち物があります。
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 印鑑
- 転出証明書(転入届のみ。転出届を提出した時に交付)
- 国民健康保険証
- 高齢者医療受給者証、乳幼児医療証など(該当する場合)
- 印鑑登録証(登録者)
- マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
転出届・転入届・転居届は原則、役所の窓口で提出しますが、もし、転出届を提出しないまま、遠方に引っ越してしまい旧住所側の役所に出向くのが困難な場合は、郵送で手続きすることが可能です。
【転出届を郵送で提出する方法】
- 旧住所の役所のホームページから転出届をダウンロード
- 正確に転出届に記入
- 本人確認書類のコピー、郵便切手を貼った返信用封筒、委任状(代理人の場合)を用意
- 旧住所の管轄役所に郵送
転出届・転入届・転居届のほかにも、市区町村役場で行う手続きには以下のような項目があるため、転出届と同時に行っておくことをおすすめします。
- 国民健康保険の「資格喪失届」と国民健康保険証の返納
- 国民年金の住所変更(国民年金手帳が必要。転入時の手続きのみでよい場合もあります)
- 印鑑登録の廃止(印鑑登録証が必要。自治体によっては、転出届を出すと自動的に印鑑登録を廃止してくれる場合もあります)
- 福祉、医療、手当の手続き(乳児医療費助成、児童手当、介護保険、後期高齢者医療費助成など)
- 犬の登録変更(旧鑑札、狂犬病予防注射済票、印鑑が必要。転入時の手続きのみでよい場合もあります)
なお、市区町村によって内容が異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
役所での手続きは煩雑なので、後回しにしがちですが、14日間という期限が定められているだけに蔑ろにできません。その他、生活インフラの手続きや梱包などで大変だとは思いますが、それらの手続きが完了しないと公的に引越しが完了したことにはならないので、テキパキと済ませてしまいましょう。