一般的に賃貸借契約は2年間とされることが多く、その後、自動更新または改めて書面を通じて契約を更新します。しかし、遠方への転勤や結婚、出産などの事情でやむを得ず、引っ越さないといけない場合もあるでしょう。また、大家さんの都合で賃借契約を解除するという場合も稀にあります。
こういった場合に必要となるのが、「賃貸住宅の解約手続き」です。とはいえ、賃貸マンションの契約を解約するには、どうしたらよいかご存じですか?そこで今回は賃貸住宅の解約手続きについて解説します。
賃貸物件の契約を解除する場合には、4つのケースが考えられます。また、それによって解約方法も異なるので注意が必要です。
●契約期間満了
一般的に賃貸借契約は2年間ですので、その都度更新する必要があります。満了期間の数か月前に、不動産仲介業者(または直接大家)から更新の希望を確認されるので、更新または契約解除を伝えます。契約の内容によっては、借主からの意思表示がなければ、自動更新という場合もあるので、賃借契約書をよく読んでおきましょう。
●借主の都合による途中解約
途中解約とは、例えば急な転勤や結婚といった、やむを得ず引越さなければならない事情などで、契約期間中に契約を解除することです。
多くの場合1〜2か月前に解約の意思を不動産仲介業者や大家さんに伝える必要があります。口頭やメールで伝えるとともに「解約通知書」という書類の提出を求められ、承認を得られれば退去日までの家賃を日割計算で支払うことになります。
●貸主の都合による途中解約
建物自体が行政より取り壊しの命令を受けた、建物の安全性に重大な欠陥が見つかり大規模修繕が必要になった場合は、貸主より途中解約を申し受ける場合があります。この場合は概ね6か月以上前に退去勧告などを伝えられます。ほとんどの場合では次の居住が補償されるとは限りません。
●契約違反による強制解約
騒音トラブルやルール違反など、賃貸借契約書に記載されている禁止事項を行うと、強制的に契約解除を求められることがあります。ほとんどの場合、すぐに契約解除にされることはありません。大家さんや仲介業者からの改善要求にきちんと応じ、ルールを遵守した生活を続ければ、解約されることにはなりません。改善要求に応じない場合は、裁判に発展し、立ち退き命令が出される場合もあります。
引越しなどで途中解約をする場合は、賃貸借契約書の内容を再度確認して、途中解約に関する条項について調べておきましょう。
急に転勤が決まったなど、途中解約はよくあることですが、翌日や翌週に解約というのは不可能です。ほとんどの場合、定められた期限までに「退去予告」を行う必要があります。これは不動産仲介会社の規定によって異なるので、入居時に確認をしているはずですが、忘れている場合もあるので、再度確認しましょう。
引っ越しが決まったら、現在、賃貸住宅にお住まいの場合は解約手続きが必要になります。不動産の賃貸借契約書に書かれた「解約する際は○か月(日)前までに申告すること」という規定に沿って、仲介の不動産会社や管理会社(もしくは貸主である大家さん)に連絡しましょう。
一般的には「1か月前までに申告」が多いですが、物件によっては「2か月前」「3か月前」といった場合もあります。もし、賃貸借契約書に期日が記されていない場合、法律では「3か月前までに申告すること」と定められているので注意しましょう。
解約の申告期限を過ぎてしまうと、退去した後も1か月分の家賃、もしくは日割り計算された金額が発生し、新居の分とダブルで家賃を支払わなければならない場合があります。このような余分な出費を抑えるためにも、前もって申告期限を確認し、引越しのスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
ここでは、解約手続きの流れを紹介しておきます。引越しを決めたら、まず何をすべきかを確認しておきましょう。
①賃貸借契約書を確認
②不動産仲介業者または大家さんに解約する旨を電話またはメールで伝える
③解約通知書を記入して送付する
④ライフライン等の解約手続き
⑤原状回復、引っ越し準備、清掃等
⑥住民票の移動
⑦退去の立会いや鍵の返却
⑧退去費用の支払い・敷金の精算
こうやってみると、解約が完了するまでには多くの作業が伴うことがわかると思います。
多くのケースで、解約の通知は退去日の1か月以上前となっていますが、上記の流れの作業を完了するのは、結構大変です。時間に余裕がある人は1か月と言わず、なるべく速やかに解約通知を行うことをオススメします。また、この流れの中には、引越し業者の選定なども含まれるので、いろいろな作業を同時並行で行う必要があることを覚えておきましょう。