賃貸物件の場合は契約の内容によって加入が義務付けられている火災保険。今まで、なんとなく火災保険に加入していた人も、引っ越しをきっかけに保険の種類や適用範囲について勉強しておきましょう。また、分譲マンションの例も紹介します。
賃貸住宅の火災保険は何のために入るのか。その理由は、火災などで借りている部屋に損害を与えてしまった場合、原状回復にかかる費用の補償、そして自分の家財を補償するためです。
自分の家財の補償とは、火災などの災害によって自分の所有しているパソコンやテレビ、冷蔵庫などの家電やベッドなどの家具に損害があった場合、火災保険によって損害に対する補償を受けることができます。
また、賃借契約書の中に、借りた部屋を元通りにして返すという契約内容が基本的に記載されていますが、これを「原状回復義務」といいます。賃貸住宅の場合は火災によって損害が出た部屋を元通りにする義務があり、そのための費用の補償してくれるのが、火災保険なのです。火災保険は原則として任意での加入となりますが、引越した際は万が一の時に備えて火災保険の加入は必ずしておきましょう。
火災保険の補償範囲は火災だけではなく、自然災害や不注意により発生した損害など、さまざまなリスクに対応されるケースもあります。例えば、風災・雹(ひょう)災・雪災などの自然災害、また、水漏れや飛来、衝突、盗難、家財の破損などの日常生活のリスクに対応してくれる場合もあります。どのようなリスクに対応してくれるのか、加入する前にあらかじめ保険の内容をしっかり調べておきましょう
火災保険の金額は、構造や建築場所、補償内容によっても異なってくるため、一概に「いくらが目安」と言うことはとても難しいです。そのため、補償内容と保険料を比較してコストパフォーマンスでどの火災保険を契約するか見極めることが大切です。
例えば、建物を保険の対象とした火災保険の保険料は、一般的に「建物の評価」「所在地・構造区分・築年数」「補償内容」「保険期間・支払方法」「割引」などの要素を総合評価して決まります。また、家財を対象とした火災保険の場合、前述の「建物の評価」「築年数」以外の要素に加えて、家財の評価額、借家人賠償責任保険や個人賠償責任補償特約の保険金の上限額などが考慮されます。そのため、家財を対象にした火災保険の保険料は、人によって大きく異なってくるのです。
保険料は引越し先で利用できる保険会社によっても異なります。補償内容はほとんど同じであっても、保険会社を変えるだけで保険料が抑えられることもあります。そのため、各社を比較して保険料が安い会社を選ぶのが良いでしょう。また、必要のない補償を外すことを優先的に考えるのも保険料を節約する上で有効です。
例えば、引っ越しした場所が土砂崩れなどの心配がない地域なら、水災の補償を外すことができる保険を選ぶことで、保険料を大幅に節約することができます。ほかにも、支払い方法や契約期間を長期で設定するのもおすすめです。契約期間を長期で保険料を一括払いにするなど、できるだけまとめて支払うことで保険料の総支払額が安くなります。
さらに、免責額を設定することで、保険料を節約することができます。免責額とは、損害が発生した際に被保険者が自己負担する額として設定する額のことです。例えば、少額の損害については補償を受けられない、もしくは支払われる保険金から差し引かれるように免責額を設定するなどの方法があります。
引越しをするとなって、不動産会社を通して住宅の賃貸契約を結ぶ場合、その不動産会社から火災保険をすすめられるケースがあります。その場合、賃貸借契約の条件として「火災保険への加入」が必須であれば、必ず火災保険に加入しなければなりません。
ただし、保険の補償を充実させたい場合や保険料を抑えたい場合は、必ずしも不動産会社がすすめる火災保険ではなく、自分で火災保険を選べるケースもあります。その場合は、事前に不動産会社へ確認しておきましょう。
なお、火災保険に加入する際は、「家財保険」「借家人賠償保険」「個人賠償責任保険」の各補償内容を確認することで、その保険がどのような内容なのかを把握することができます。不動産会社から提供される火災保険を契約する場合も自分で加入する場合も、これらの3点は必ず確認するようにしましょう。
火災保険に加入する上で注意しなければならない点があります。それは、地震や津波などが原因の損害の場合、基本的に保険が適応されないという点です。そこで、火災保険だけではカバーできない部分を補えるのが、地震保険です。
地震保険は、地震や噴火、津波などが原因で起こった火災や流失、埋没などによって、住宅または家財に損害が生じた場合に保険金が支払われるものです。その際、補償額は家財保険の補償額の最大50%までとなります。また、地震による被害、倒壊の状態によって、補償額も変わってきます。
沿岸部やその土地の特性など、引っ越しした場所も考慮しながら加入を検討するようにしましょう。なお、地震保険は火災保険の特約として付帯されていることが一般的なので、地震保険のみ単独で加入できない点は注意が必要です。
住宅ローンを組んで分譲マンションを購入する場合には、基本的に火災保険の加入が義務付けられます。 これは、住宅ローンの返済期間中に火災で住居を失った場合などに住宅ローンの残債を回収するのに利用するためです。
マンションを所有すると火災や水災、落雷などといった災害のリスクがあります。いくら自分が気を付けていても、被害を受ける可能性があります。様々なリスクに備えるためにも、引っ越しを機に火災保険への加入は行いましょう。
いかがでしたか? 賃貸物件に引越す場合や分譲マンションを購入する場合に、必ず考えなければならない火災保険。この機会に保険の種類や適用範囲について勉強しておけば、万が一の際に、必ず助けになることでしょう。
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