自治体によってゴミの分別方法は違う!
引越し先のゴミ分別を知っておこう
引越し先でのご近所トラブルでよく挙げられるのがゴミの分別です。家庭ゴミの分別は国で統一されているのではなく、各自治体によって異なっています。掃除が苦手という人の中には、引越し先のゴミの分別が面倒に感じる人も少なくありません。そこで今回はゴミの分別ルールは、地域によってどのくらい差異があるものなのかを調べてみました。
多くの自治体では、ゴミの分別は11~15種類が平均的となっています。大別すると、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「粗大ゴミ」「資源ゴミ」に分けられ、そこからさらに細かく自治体によって分別されていきます。そんなゴミの分別は、ゴミの排出量が多い都市部ではなぜか分別の種類が少なかったり、規制が緩かったりします。
一方、人口が少ない地方自治体では、ゴミの排出量が少ないにもかかわらず分別が厳しい傾向があります。以下にユニークな事例を紹介します。
●ゴミの分別種類が少なく、ゴミ排出量が政令都市で日本一少ない川崎市
神奈川県川崎市では、ゴミの分別は普通ゴミ、資源ゴミ、小物・金属、粗大ゴミの4種類に分かれているのみで、資源ゴミも5種類に分かれているだけです。全体でも8種類と他地域に比べて分別種類が少ないのが分かります。
缶とペットボトルを分ける必要がなく、古紙も紙パックや新聞紙、段ボールなどもひとまとめに捨てることが許されています。こんな大雑把で大丈夫なの?と心配になる人もいるでしょうが、実は川崎市は3年連続(2017年〜2020年)で政令都市の中で最も1人当たりのゴミ排出量が少ない自治体なのです。
1951年に日本初のバキュームカーを導入、1971年にはゴミ焼却による発電機付き工場を日本で初めて建設、1995年には日本初のゴミの鉄道輸送を実施、2019年、日本初の廃棄物発電を活用したEVゴミ収集車を導入するなど、ゴミ処理において常に先頭を走ってきた川崎市。
市と企業、市民が連携してゴミを減らすための取り組みを行うことで、分別の種類を減らしてもゴミの排出量を減らし続けてきたというのは驚きです。
●1人当たりの1日のゴミ排出量が日本一でも分別の規制はゆるい大阪市
2009年、1人当たりの1日のゴミ排出量が東京23区(1122グラム)を抜き、全国ワースト1(1358グラム)となった大阪市。現在までにゴミの処分量を減らす目的でさまざま施策が実施されていますが、ゴミの分別に関しては、シンプルで他の地域よりも規制がゆるいことで有名です。
例えば、多くの自治体が採用している「指定ゴミ袋」はなく、透明または半透明の袋であればOKとされており、中身が確認できるのであれば、少々色付きでも問題ありません。ただし、分別のルールを守らないとオレンジ色の啓発シールが貼られ、ゴミを収集してもらえないというユニークな罰則があります。資源ゴミに関しても、空き缶・空きビン・ペットボトル・金属製の生活用品を1つの袋にまとめて出すことができます。
大阪市の分別ルールは隣接する兵庫県尼崎市や西宮市でも同様となっていますが、少し離れた街から引っ越してきた人が大阪市の分別の規制のゆるさに戸惑うことも多いそう。
●埋め立て処分場延命のため、リサイクルを充実させた鹿児島県大崎町
鹿児島県大崎町では、1995年に容器包装リサイクル法の成立を受け、98年より缶、ビン、ペットボトルを分別したのが始まりでした。2000年の同法の改正により、そこから16品目の分別に細分化しました。分別の細分化はさらに進み、現在では、缶・ビン類は空き缶、生きビン(リターナブルビン)、茶色ビン、無色透明ビン、その他のビンの5品目、紙類は段ボール、新聞紙・チラシ、雑誌・雑古紙、コピー用紙、シュレッダー紙、紙パックなど8品目と、全体で27品目にまで増えました。
大崎町では、1990年に埋め立て処分場を建設したものの1998年の時点で埋め立て処分場の拡大計画よりもゴミの量が上回ったため、埋め立てゴミを減らさなければいけなくなりました。焼却処分場建設の案も出ましたが、財政難で建設費、維持費が賄えないということで、リサイクルでゴミを減らすしかありませんでした。
●日本一ゴミの分別が細かい町、徳島県上勝町
人口わずか1700人ほどの徳島県上勝町は日本一ゴミの分別が細かい町として知られています。
例えば、空き缶だけでもスチール缶・アルミ缶・スプレー缶の3種類、ビンは透明ビン・茶色ビン・リサイクルビン・その他のビンの4種類、古紙も紙パック・新聞・段ボール・雑誌の4種類に分別しなければいけません。また、割り箸も竹の割り箸、木の割り箸に分けたり、古着も「燃えるゴミ」ではなく、個別に分けたりなど、実に分類数は51種類にも上ります。
さらにユニークなのは、上勝町ではゴミ収集車がなく、地域住民が「ゴミステーション」という処分場に持ち込んで分別、廃棄するシステムとなっています。農業が盛んなこの町では、生ゴミは堆肥として利用されるので、ゴミ処理場にありがちな生臭い臭いもあまりありません。こうした住民の協力によって、町の資源リサイクル収入は毎年約300万円近くとなっているそうです。
それでは、どうして自治体によってゴミの分別に差が出るのでしょうか?これには、「設備」「コスト(予算)」「人口」の3つの要因があるとされています。
まず「設備」については、例えば、川崎市などの燃えるゴミの分別があまり厳しくない自治体では、高温焼却炉といった高性能ゴミ処理施設を所有していることが多いです。高温焼却炉は焼却時間を短縮できるほか、プラスチックを燃やした時に発生するダイオキシンなどの有害物質が発生しにくいというメリットがあり、ゴミを細かく分別せずに済みます。ゴミを細かく分別すると、それぞれを処理するコストがかかってきます。
次に「コスト(予算)」の差はやはり大きいでしょう。大崎町のように自治体の財政が厳しいと高性能ゴミ処理施設の建設が難しいため焼却できないゴミの種類が増えてしまいます。それにより、人件費が必要になるというジレンマに陥ります。
しかし、東京都などの人口が多い都市では単純にゴミの量が圧倒的に増えてしまうため、回収コストがかかります。そうなると、最後には「人口」という問題が大きな差につながります。
例えば、上勝町では人口が少ないために住民同士のコミュニケーションが密で、細かい分別ルールも理解してもらいやすくなります。だからこそ、コストをかけてゴミを自治体が回収するのではなく、中央の処理場に持ち込んでもらう方式が生まれました。
ゴミの分別の仕方が、自治体によってかなり違うことがわかっていただけたかと思います。このように、引越し先の自治体のゴミの分別方法を調べておくと引越しのヒントになる場合があります。
例えば、分別が細かいのは大変だなという人は、隣の市のゴミの分別方法についても調べてみましょう。意外と分別がゆるいかもしれません。
ゴミの処理は生活する上で欠かせないことなので、事前に調べておくと意外と暮らしやすい街が見つかるかもしれません。
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