不動産関連情報 引っ越しを検討しているなら知っておきたい
「ZEH-M（ゼッチ・マンション）」のこと 不動産関連情報

新築マンションで増加しているのが、「ZEH-M（ゼッチ・マンション）」です。住宅の断熱・省エネ性をあげ、太陽光発電などによってエネルギーを創ることで、年間の一次エネルギー消費量をゼロ以下にしようというものです。断熱、省エネなど今後の社会の中で引越しする際に検討材料の１つとなる「ZEH-M」の詳細を紹介します。

「ZEH」とは、「Net Zero Energy House（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）」の略語です。つまり、住宅の断熱・省エネ性を上げながら、太陽光発電などでエネルギーを生み出して、家庭でのエネルギー消費量を家庭でつくられたエネルギーが上回ることを目指した住宅のことを指します。ZEHのなかでも「ZEH-M」は、「Net Zero Energy House Mansion（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション）」の略称で、マンションタイプのZEHのことを言います。

「ZEH-M」と一般的なマンションの違いは、その省エネ性能にあります。ZEH-Mの場合、建築する段階で断熱性の高い素材を使用するなどして、室内の温度を一定に保ち、多くのエネルギーを使わずに快適に暮らすことを目指しています。断熱性能によって「夏は涼しく、冬は暖かい」住宅をつくることで、消費するエネルギーを抑えることができるので、引っ越し先を検討する際も大きなポイントになります。ZEHの普及は政府が後押しをしていて、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」としています。

●ZEH-M（ゼッチ・マンション）

3階以下の低層マンションで、住棟全体における再エネ（自家発電など）を含む省エネ率が100％以上という基準が設けられています。強化外皮基準をクリアした外皮を導入しており、再エネ（自家発電など）を除いた省エネ率が20％以上という共通の基準もクリアしたものになります。

●Nearly ZEH-M（準ゼッチ・マンション）

3階以下の低層マンションで、住棟全体における再エネ（自家発電など）を含む省エネ率が75％以上100％未満という基準が設けられています。強化外皮基準をクリアした外皮を導入しており、再エネ（自家発電など）を除いた省エネ率が20％以上という共通の基準もクリアしたものになります。

●ZEH-M Ready（ゼッチ・マンション・レディ）

4〜5階のマンションで、住棟全体における再エネ（自家発電など）を含む省エネ率が50％以上75％未満という基準が設けられています。強化外皮基準をクリアした外皮を導入しており、再エネ（自家発電など）を除いた省エネ率が20％以上という共通の基準もクリアしたものになります。

●ZEH-M Oriented（ゼッチ指向型のマンション）

6階建て以上の中層・高層マンションで、住棟全体において再エネ（自家発電など）を除いた省エネ率が20％以上で、強化外皮基準をクリアした外皮を導入したものになります

●ZEH-Mのメリット１：健康面・快適性の向上

断熱性が高いということは、室温が外気温に影響されにくいと考えられます。すなわち、夏の猛暑や、冬の寒さの影響も受けにくいため、住戸内では夏涼しく、冬あたたかい快適な時間を過ごせます。温度差がない室内は、ヒートショックを防ぐことにもつながります。健康面に与えるメリットは大きいといえるでしょう。

●ZEH-Mのメリット２：光熱費を抑えられる

ZEH-Mは断熱性が高いので、住戸内を快適な室温に保つためのエアコンや床暖房の使用量を抑えることができます。また、エネファームやエコキュート、エコジョーズなどの高効率な給湯設備や、各住戸に太陽光パネルが割り当てられていれば、創エネによってさらに光熱費を抑えることができます。

●ZEH-Mのメリット３：災害時に頼りになる

「ZEH-M」「Nearly ZEH-M」「ZEH-M Ready」に該当するマンションでは、太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギー用設備の導入が定められています。そのため、地震・台風・大雪などの災害時にも蓄電した電力を使用することができます。災害時に在宅避難をする場合に、照明が使えて夜も明るい部屋で過ごせたり、冷蔵庫内の食材を無駄にせずにすんだりといった安心感につながります。

●ZEH-Mのメリット４：資産価値を維持しやすい

ZEH-Mは、個人のリフォームでは変更できない建物自体の基本性能がとても優れています。そのため、耐久性や快適性、経済性を長く維持することができます。20年後、30年後といったときに、ZEH-Mの水準ではない物件と比べると、引越して売却を検討する際に有利になるなど資産価値の面でもメリットが出ることが考えられます。

●ZEH-Mのデメリット１：設備投資やメンテナンス費用がかかる

ZEH-Mでは、断熱設備や省エネ設備、再エネ設備を導入する必要があります。そのため、設備導入費用が一般のマンションよりも高くなるうえ、導入後のメンテナンス費用などがかかってしまいます。

●ZEH-Mのデメリット２：デザインや間取りが制限される

高いエネルギー効率を実現するための条件が定められているため、高断熱性能を保てるよう窓の大きさや配置に制限があったり、省エネ設備の設置により空間デザインに制限が生じたりする可能性があります。引越し先のマンションの設備や配置は注意して見るようにしましょう。

●ZEH-Mのデメリット３：発電できないリスクもある

太陽光発電パネルを用いた太陽光発電は、曇りや雨天時には多く発電できないなど、天候や季節に左右されてしまいます。また、引越し先の立地条件の関係でNearly ZEHの評価となる場合もあります。BELS（建築物省エネルギー性能表示制度）の評価にも影響するため、想定よりも物件価値向上に繋がらないこともあります