引っ越しを考えている人なら、誰もが気になる「災害に強い物件」。地震には気をつけているものの、他の台風や豪雨などへの注意は見落としがち。2018年に中国地方や大阪を襲った台風に衝撃を受けた人も多いのでは?
被災地ではいまだにブルーシートに覆われた家屋があり、被災状況を見ると、一軒家とマンションとでは被害箇所にそれぞれ特徴があることがわかります。
そこで、今回は、一軒家とマンションでの物件選びのポイントについて台風災害の観点から探ってみます。
2018年9月に発生した台風21号は、最大瞬間風速58.1m(関西空港)、329cmの高潮(大阪湾)を記録するなど、近畿地方を中心に死者13人という非常に大きな被害を与えました。
京都駅駅ビルの天井ガラスが落下してケガ人が出たり、大阪市内のマンション8階に家屋の屋根が飛来して、窓ガラスを突き破り住人に当たったり、さまざまな被害が発生しました。
では、建物の違いによって、被害状況にどのような特徴があるのでしょうか?
生活インフラに関する悩み事を解決するためのマッチングサービス「生活110番」を運営する「シェアリングテクノロジー株式会社」が、台風21号による台風被害相談に関する実態を調査したところ、以下のような傾向が分かりました。
●一戸建て
アンテナ 44.3%、雨漏り 33.5%、ガラス 20.5%、シャッター 1.8%
●集合住宅
アンテナ 13.2%、雨漏り 4.8%、ガラス 81.3%、シャッター 0.7%
●店舗、倉庫など
アンテナ 1.3%、雨漏り 12.9%、ガラス 63.4%、シャッター 25.4%
このデータから分かるのは、一軒家の場合には屋根に取り付けているアンテナの故障と雨漏りが7割強と、被害が屋根周りに集中していることです。
一方、マンションなどの集合住宅や店舗は、窓ガラスに被害が集中していることが分かります。また、店舗や倉庫ではシャッターが壊れるといった被害も多く報告されています。
このように、建物によって台風被害の傾向が違うことが判明したわけですが、それでは建物別にどのような対策が必要なのでしょうか?
家庭で使用しているアンテナにもいくつか種類があります。中でも、地上波テレビアンテナやパラボラアンテナが屋根に付いているご家庭も多いのではないでしょうか?
屋根についているアンテナは気象条件に影響を受けやすく、雨や雷の日などはテレビの映りが悪くなることもあります。そんなアンテナはいつも風雨にさらされていますが、定期的にメンテナンスをしているという人は意外と少ないもの。アンテナの寿命は約10年と言われているので、定期的なメンテナンスをオススメします。最近では壁に取り付ける平面アンテナも販売されているので、台風対策として交換するのも良いかもしれません。
同時に屋根材や瓦も常に風雨と日光にさらされているため、家屋の中でももっとも痛みやすい部分だということが言えます。屋根材なども10年に1度点検し、必要に応じて強風対策のリフォームを施すことをオススメします。
一軒家に引っ越す際は、屋根に破損がないか、アンテナは大丈夫かをチェックする必要があります。状況をしっかりと確認した上でメンテナンス時期をきちんと把握しておきましょう。
引っ越しの物件選びの際に考えたいのは、マンションの高さです。
高層階になるほど風は強くなり、タワーマンションの高層階になると遮るものがなくなるため、強風を受けやすくなります。タワーマンションなどは窓ガラスも強風対策がされていますが、台風21号のように、想定外の強風に見舞われることにも留意しなくてはなりません。
マンションが密集している都市部の住宅街で引越し先を探す場合には、「ビル風」に注意したいところです。「ビル風」とは大きな建物の狭い範囲で発生する特殊な風のことです。
台風21号の時には、大阪府の都市部のマンションが甚大な被害に見舞われました。この要因は、都市部でビル風の暴風が起きたことと、その暴風によって窓ガラスを突き破るほどの速度の飛来物があったことが挙げられます。
このように都市部では、台風の時には自然では起こりえないような暴風が吹き荒れることがあります。
ガラスの強風対策としては、雨戸をきちんと閉めるということが一番ですが、マンションには基本雨戸がありません。ガラスが割れても飛び散らないようにするため保護フィルムを貼るのも1つの手です。また、飛来物を少しでも減らすために台風が近づいてきたらベランダに置いてある物を部屋の中にしまいましょう。もし、保護フィルムなどをすぐに用意できない場合は、引っ越しの際に使う養生テープを保管しておき台風が近づく前に窓ガラスに「x」を描くように貼っておくと効果があります。
いかがでしたか?もし、都市部への引っ越しを考えている人や一軒家を購入した人などは、地震だけではなく、台風対策にも気をつけてください。
台風は9月がピークと言われていますが、近年では5月くらいから発生するなど、早めの準備が必要になってきているので、余裕をもって準備することが大切です。
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