購入した一戸建てへの引越しは、人生の中で最大級のイベントであると同時に、今後数十年にわたって生活をするため長期的な将来を考えるべき出来事です。そんな中、再生可能エネルギーの利用拡大や電力の自由化、IoT(モノのインターネット)の普及などを活用して、エネルギーの節約を行う「スマートハウス」と呼ばれる住宅が近年話題となっています。
そこで今回は「スマートハウス」について紹介します。
スマートハウスとは、IT技術を使って、家庭内の電気やガスといったエネルギーの節約、管理ができる家のことです。
スマートハウスには、エネルギー効率をマネジメントする3つの設備があります。
①家庭内の照明、調理器具、冷暖房といった各設備の電力使用量を可視化すると同時に自動で制御してくれるシステム、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)。
②太陽光で電気を創出する太陽光発電(ソーラーパネル)。
③太陽光発電でつくられた電気を貯める蓄電池。
これら3つを駆使してエネルギーを上手に利用できる家がスマートハウスということになります。
日本政府は2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目指すとしており、今後の住宅開発では目が離せないシステムとなっています。
「スマートハウス」と呼ばれる住宅はここ10年くらいの間で普及してきましたが、これまでにも、「スマートホーム」や「IoT住宅」と呼ばれる住宅がありました。それぞれの特徴についてまとめると以下のようになります。
●スマートハウス
家電やガス、水道、電気などのメーターを一括で管理するHEMSというシステムを中心に、快適性や利便性というよりは、節約や省エネを重視している点がスマートハウスの大きな特徴です。スマートハウスの中で使われている家電がインターネットを通じて制御するスマート家電ということもあるので、スマートホームやIoT住宅も包含するのが「スマートハウス」ということになります。
●スマートホーム
スマートホームはJEITA(電子情報技術産業協会)が提唱する呼称で、家電などをインターネットでつなぎ、スマホやスマートスピーカーでコントロールすることができる家のことを指します。わかりやすく言えば、スマート家電が充実した家のことを指します。
●IoT住宅
IoT住宅はAI住宅とも呼ばれ、住む人の生活パターンや志向をAIに学習させ、エアコンの設定温度を自動調節したり、照明のオンオフを生活パターンに合わせて設定したりと、快適な環境を作り出そうとする住宅です。スマートホームとよく似ていますが、違いはセキュリティに重点が置かれているところ。例えば、不審者を発見する防犯カメラやガス漏れを探知するAIが設置されているのが特徴となっています。
スマートハウスの中軸を担うHEMSとは、どのようなシステムなのでしょうか。
従来の住宅では、毎月送られてくる請求書で1ヶ月の電気使用量を確認していました。しかし、月単位でしか分からないため、日毎や時間毎といった細かな電気使用量を計ることができませんでした。そこで、HEMSでは、専用の管理モニターをリビングやキッチンに設置することで、電気使用量や電気料金を細かくチェックしていくことが可能になりました。
日々のエネルギー収支をチェックすることで、時間帯使用量の変化やどの家電で無駄遣いが多いかといった点まで理解できるため、節電意識・エコ意識が高まっていくことが期待できます。また、システムによる自動制御が可能になるので、無駄な使用電力を削減することができます。
スマートハウスに引っ越す最大のメリットは、電気代が節約できることでしょう。HEMSにより電気利用の最適化がいつでもできるので、毎月の支出ではなく、毎日の支出を見直すことができます。また、電力の利用を細分化して把握することができるので、電力使用量の多い家電についての見直しや、自動制御が可能になります。
また、ソーラーパネルを使って太陽光で電気を作り出すこともできるので、電力会社の電気使用量を減らすことが可能で、同時に、余った電気を電力会社に売却することもできます。
さらに、電気だけではなく、ガス、水道についても一元管理できるので、家庭で利用するエネルギー全体を節約することができるでしょう。
そのほか、太陽光発電でつくられた電気を貯める蓄電池は停電時にも役に立つので、スマートハウスは災害時にも強い家というメリットがあります。
スマートハウスに引っ越す際のデメリットは、ソーラーパネルやHEMSなどの施設を導入する初期費用が高額であることです。
家の広さにもよりますが、一般的な住宅にソーラーパネルを設置すると、5kwh用で120~170万円が相場となっています。また、蓄電池の設置費用には75~140万円ほど必要で、HEMSの導入には5~20万円ほどかかります。設置だけでなく、太陽光発電を含めたそれぞれの設備は定期的なメンテナンスも必要になります。
加えて、HEMSに対応している家電製品に買い替えなければいけない場合もあるので注意が必要です。現状では、HEMSの通信規格に合致する家電の普及が進んでいないため、どれだけ家電を揃えられるかがポイントとなるでしょう。
スマートハウスは、今後もっと進化していくイメージがあるかもしれませんが、長期的な電気料金を考えれば、一戸建てに引っ越す場合には、スマートハウスに絞って家探しをしても良いかもしれません。
その際には、HEMSが軸となるのでHEMSの規格に合う家電がどれくらい揃えられるものなのか、その他の必要な設備にどれくらいの資金が必要なのかも家の購入資金に含めておくと良いでしょう。
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