新居を購入する際に、考えなくてはならない住宅ローンの問題。最近では、共働き世帯が増えたこともあり、住宅ローンの種類として夫婦で借りる「ペアローン」が1つの選択肢になっています。ここでは、ペアローンの種類や、どんな人に向いていて、どんな人に向いていないのかを紹介していきます。
ペアローンとは、夫婦で所有する1つの物件に対して、夫婦それぞれで住宅ローンを契約する借入方法です。つまり、引っ越し先となるひとつの物件に対して2本のローンを組んで購入することになります。その際、夫婦はそれぞれ、自分が借り入れたローンに対して返済義務を負い、夫婦それぞれが相手の契約の連帯保証人になります。
例えば、1人の年収では希望する住宅ローンの借入額に届かない場合など、ペアローンを組むことで希望額に達したり、借入額を増やしたりすることが可能になります。また、ペアローンは必ずしも夫婦で半分ずつ借りる必要はなく、7対3や6対4など、割合を各々の事情に応じて調整することができます。
●メリット1 借入可能額を高額に設定できる
夫婦でペアローンを組むと、両方の所得を評価したうえで、それぞれの借入可能額が決定します。そのため、夫か妻が1人で住宅ローンを借入する時よりも、借入可能額が高くなるというメリットがあります。どちらかの収入だけでは、希望する額が借りられない場合でも、ペアローンを利用すれば希望額の融資を受けられるようになる場合もあります。夫婦の収入を合わせることで借入額もより大きくでき、物件の選択肢が広がります。
●メリット2 住宅ローン控除が夫婦それぞれに適用される
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ際に利用できる制度であり、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税(および一部住民税)から最大13年間控除される制度です。
「住宅ローン減税」とも呼ばれ、住宅を購入して居住すると、住宅ローン残高を基準に一定額の所得税控除を受けられる住宅借入金等別控除(住宅ローン控除)という制度が受けられるものです。
ペアローンの場合、住宅ローン契約は夫と妻でそれぞれの2本になるため、夫婦それぞれで住宅ローン控除を申請することができます。そのため、住宅購入から一定期間は、単独で住宅ローンを借入るときよりも節税効果が見込めます。
※2023年8月の情報です。住宅ローン減税の内容は変更になる場合があります。
●デメリット1 住宅ローンの諸費用が倍になる
ペアローンは、1つの物件に対して2本の住宅ローンを組むため、住宅ローンの契約にともなう印紙代、保証会社事務手数料、司法書士報酬などの諸費用も当然ながら二契約分かかります。そのため、単独ローンと比べると初期コストが多くかかるのはペアローンのデメリットと言えるでしょう。しかし、住宅ローン控除を夫婦それぞれで受けられることを考慮すれば、トータルではペアローンを組む方が金銭的にはおすすめだと言えそうです。
●デメリット2 万が一のとき、団信の保証は一方のみ
ペアローンは団体信用生命保険(団信)にそれぞれが加入することができます。しかし、夫婦のうちいずれかが亡くなった場合に保険金で残債が返済されるのは亡くなった側の分だけとなります。そのため、もう一方の返済義務は残ってしまいます。
例えば、単独で住宅ローンを組んでいた夫が亡くなってしまった場合、残債は全額、団体信用生命保険の保険金で支払われ、残された家族に負担はかかりません。しかし、ペアローンの場合では、夫と妻がそれぞれで住宅ローンを組んでいるため、夫が亡くなったら、夫の分の残債のみ団体信用生命保険の保険金で支払われ、妻の分の住宅ローンの返済は、その後も続くことになります。
●1人分の年収額では希望の借入額に届かない
夫または妻の年収のみでは希望の借入額に届かない場合、ペアローンに向いているケースだと言えるでしょう。ペアローンは、2人の収入を合わせることで、夫か妻が1人で住宅ローンを借入れる時よりも借入可能額が高くなるからです。ただし、夫婦ともに収入を減らさず働き続けられることが前提になります。というのも、もし、どちらかの収入が減ってしまうと、返済が難しくなりかねないからです。また、夫婦それぞれで住宅ローン控除を受けたいケースもペアローンに向いていると言えます。
●共働きで両者の収入が安定している
共働きで夫婦どちらにも安定した収入がある場合も、ペアローンに向いていると言えるでしょう。ペアローンの借入額は、必ずしも夫婦で半分ずつ借りる必要はなく、7対3や6対4などその割合を調整することができます。そのため、各々の収入額によって考慮できるので便利です。 ただし、夫婦ともに収入を減らさず働き続けられることが前提となるので、育児や介護にともなって休職や退職する可能性が考えられる場合は注意が必要です。
●夫婦共に働き続ける意思がある
引っ越し先の新築物件でペアローンを組んだ場合、ローンを組んでいる期間は働き続けることが必須になってしまいます。そのため、バリバリ働き続けたいというライフスタイルでないと、ローンを組んだ期間をずっと働いていくことは難しいと予想されます。ペアローンを組むかどうかは、自分や相手がずっと働いていきたいか、いけるのかどうかをしっかり確認してから検討するようにしましょう。
●夫婦共働きではない
ペアローンは、引っ越し先である1つの物件に対して夫婦それぞれで住宅ローンを契約する借入方法で、1つの物件に対して2本のローンを組んで購入するもの。そのため、夫婦のうち1人が無職の場合は、住宅ローン審査に通過することは難しく、契約することができないことも考えられます。
新築に引っ越したい時に便利なペアローンは、借入可能額を高額に設定できたり、住宅ローン控除が夫婦それぞれに適用されるなどのメリットがある一方で、住宅ローンの諸費用が倍になったり、ローン返済期間中は夫婦共に働き続ける必要があるなどの条件もあります。今後の夫婦のライフスタルを含めてしっかり検討した上でペアローンを検討してみましょう。
不動産関連情報
- 引越しをする時のことも考えよう。お部屋探しの時に注意したい10のコツ
- 不動産会社選びのポイント
- お部屋をチェックする際に重要なこと
- お部屋探しは住環境も含めて検討しましょう
- 物件(部屋)を契約する際の注意点
- フリーレントに敷金ゼロ?引越し時の初期費用を抑える方法とは?
- 知っておきたい!引越し“専門”用語集
- 分譲賃貸に引越しする際に知っておきたいメリット、デメリット
- 更新料が高いなら引越しも考える?賃貸物件の更新料って払わなければならないもの?
- 引越す前に知っておきたいマンションで暮らす時の基本ルール
- 引越しを考えるなら覚えておこう家具・家電付き住宅のメリット・デメリット
- 新居に引越しする時は要注意!マンション選びをするなら民泊禁止かどうか確認しよう
- 宅配ボックス、床暖房、24時間ゴミ出しも今や普通?引越しするなら、付加価値のある快適なお部屋で暮らしたい
- せっかく引越しするならDIYできる賃貸物件を選びたい
- 広くて快適な引越し先を選ぶなら。「団地賃貸」が1つのキーワード
- マンションの1階に引越しはありか?なしか?メリットとデメリットを考えてみる
- 賃貸物件へ引越しするなら必要です!「入居審査」って何を調べられる?落ちることはあるの?
- 南向きがベスト?北向きは家賃が安い?賃貸物件に引っ越すときに考えたい日当たりのこと
- 引っ越すならインターネット無料がいい?それは本当?今一度、メリット・デメリットを考えてみよう
- 引越しするならできるだけ長く住みたい。賃貸にも広がる「省エネ住宅」
- 引越しするなら景色がいいところに!マンションの最上階に住むメリット&デメリット
- 女性が引越しする時は気をつけて!最低限知っておきたい一人暮らしの防犯対策
- 引越しするなら住んでみたい!?ロフト、メゾネット物件のメリット&デメリット
- 台風の被害状況から見えた、引越し先としてのマンションの選び方
- シェアハウスとどう違う!?引越し先の新しい選択「ソーシャルアパートメント」
- 毎日ピクニックができるから幸せ!?公園近くに引っ越す際に知っておきたいこと
- 消費増税で家の購入や家賃はどうなる!?消費増税前の引越しで知っておきたいこと
- 一人暮らしから同棲やシェアを始めても問題ない?!引越しする前に知っておきたい賃貸契約の正しい知識
- 引越しをきっかけに、物を持たない生活をスタート?「サブスクリプション」サービスで考える新しい暮らし方
- エアコン、パソコン、植物、ウォーターサーバー。これって、引越し業者は普通に運搬してくれるもの?
- キレイにリノベーションしてあるから何も問題なし?リノベーション物件に引越す際に注意したいことまとめ
- 出産を機に新居を見つけてお引越し。新居選びで気をつけたいこと
- 女性の一人暮らし。引越しするなら治安の良い場所を選びたい!
- 次の引越しでいよいよ決断。「一戸建て」と「マンション」。どちらのメリットが多い?
- 引越しするなら自分に合ったところに住みたい!どんどん進化する「コンセプト賃貸」で自分らしい生活を
- 引越しを考えるなら調べておきたい。防災のためのハザードマップ
- 引越しするなら、タワーマンションか、低層マンションか。それぞれのメリット、デメリットとは?
- 引越しする時は気をつけて!寒いマンションと暖かいマンションの見分け方
- 引っ越す時は必ず確認しよう。「旧耐震」「新耐震」の基準について
- 「ベランダ」「バルコニー」「テラス」って何が違うの?引っ越す前に知っておきたい賃貸物件の基礎知識
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語①【家探し編】
- 通勤時間はもはや関係ない?テレワーク(リモートワーク)で変わり始めた引越しの条件
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語②【費用と資金編】
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語③【建築・設計編】
- 次の引越しでいよいよ新居購入。知っておきたい住宅ローンの基礎知識
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語④【間取り&住宅設備編】
- 新しい引越し先にいいかも!1階が店舗になっている賃貸マンションのメリット・デメリットとは?
- 郊外への引越しを考えるなら。特長ある「再生団地」が気になる
- フローリング、クッションフロア、フロアタイル。引越す前に知っておきたい賃貸物件の床材の違いって?
- 戸建てに引っ越すならエネルギーの有効活用がマスト?最近話題のスマートハウスとは?
- マンションに引越すなら知っておきたい。大規模修繕計画のこと
- 入居者が主体となる集合住宅。「コーポラティブハウス」とは?
- 引っ越すならどっち?管理人が常駐するマンション・いないマンション
- 高架下に引越しできる時代が来た!?「高架下賃貸物件」の良いところ、心配なところ
- 次の引越し先は「木造マンション」?今、木のマンションが注目されている理由
- 賃貸借契約の更新通知が来た。これは引越すタイミング?それとも更新?
- 新築一戸建てへのお引越しなら、知っておいたほうがいい「ZEH」とは?
- 事件が起きてからでは遅い!引っ越す前に一軒家の防犯対策をきちんと考える
- 引越しするなら検討したい。憧れのルーフバルコニー付き物件
- 引っ越しするなら、駐車場選びのポイントを知っておきましょう
- オール電化とガス併用。引っ越し先として選ぶならどっちが良い?
- サウナ付き、小商い付き、家庭菜園付き自分の理想を叶えてくれる「コンセプト賃貸」に引っ越したい!
- 家を建てて引越しするなら!コンパクトな平屋が注目される理由
- 結婚を機に新居を購入して引っ越し。知っておきたい「ペアローン」のこと
- 引越しを考えているなら知っておきたい住民トラブルを避けるための物件選び
- 引越しする時に検討したい。電気とガスをまとめるセットプラン
- 「カーシェア」「シェアサイクル」「モビリティシェア」。引っ越すなら移動手段に困らないマンションに住みたい
- マンションから引越す時に考えてみる「マンション投資」のこと
- 引っ越すならどっち? エアコン暖房のマンションか床暖房のマンションか
- 電気代節約につなげるなら「省エネ性能ラベル」を見て引越し先を選ぶ時代が来る
- 賃貸物件のエアコンが故障したら誰が直す?引っ越す時の契約内容の確認が大事
- 「定期借家」「普通借家」って何?引っ越す前に知っておきたい契約の違い
- 中古物件を購入して引越しするなら「瑕疵(かし)保険」の仕組みを知っておこう
- 引越しを検討するなら知っておきたい「液状化現象」のこと
- 六曜や風水を参考にしながら引越しで運気をアップさせる方法
- 引越す前に知っておきたい。家賃値上げに対応する方法
- 引越す際に視野に入れたい。初期費用や家賃をクレジットカード決済するメリット
- 引越す時こそ考えよう。電気代を抑えるために必要なこと
- おもしろい形の集合住宅に引っ越してみたい。「テラスハウス」「タウンハウス」ってどんな共同住宅?
- 引越しする場所の水道水は安心できる?知っておきたいPFAS(ピーファス)汚染のこと
- 引っ越す時は、暑さ対策も考えて!熱帯夜を乗り切るためのマンションの選び方と対策
- 蛍光灯?LED照明? 引越し先を決めるときは省エネを考えて照明をチェック
- 引っ越しを検討しているなら知っておきたい「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」のこと