引っ越しをしてから2年もすれば、部屋や周辺環境にも慣れ、きっと快適な生活を送っていることでしょう。そんなある日、「更新のお知らせ」が管理会社から届きます。この更新通知が届く物件には更新料というものが必要となります。更新料を払って契約を更新するべきか、これを機に新たに引っ越しするべきかどちらが良いのでしょうか?
どのような賃貸物件にも契約期間があり、期間満了となって契約を更新する場合に、入居者が大家さんなどに更新料を請求される場合があります。更新料は必ず発生するものではありませんが、契約書に明記されていれば有効となり、更新のたびに支払わなければなりません。
首都圏にお住まいの人ならば、当たり前のように支払っている更新料ですが、大阪や兵庫、四国の一部など、「更新料」を徴収しないという地域があります。首都圏の場合、更新料は家賃の1ヶ月分というのが多いようですが、その他の地域では家賃の半月分以下というところが多く、地域や物件(大家さん)によってその金額はまちまちです。
更新料は、法律で定義されているものではないため、大家さんの裁量によって変化するのですが、2年毎に更新するというのは概ねどこでも統一されているようです。
●更新料が必要な理由
大家さんが更新料を徴収する主な理由は、以下のようなものがあります。
・更新手続きの手間賃
・家賃を維持するため
・建物の損耗を補修するため
・一時金収入のため
・古くからの慣習が残っている
更新料はいつ、どのように支払えばよいかご存知でしょうか?多くの場合、契約更新日の3か月前くらいに、不動産管理会社や大家さんから更新の意思があるかどうかを確認するため、更新通知というものが届きます。更新通知には更新手続きや更新料に関しての記載があります。これは入居前の契約時に「賃貸借契約書」にも記載されていますので、内容に変更などがないか合わせて確認しましょう。
賃貸契約の期間はほとんどの物件で2年となっています。また、契約更新時には更新料以外に火災保険料や保証会社(家賃債務保証業者)に加入している場合は、保証料も必要になるので注意しましょう。更新料の支払い期日は、更新通知書に記載されているので、期日までに振り込むようにしましょう。
更新料は法律で定められたものではないうえ、地域や物件によってまちまちなのであれば、支払いたくないという人も多いことでしょう。更新料を支払わずに済む方法はあるのでしょうか?
この答えは、法的に支払い義務はないとはいえ、入居前に交わす賃貸借契約書に、更新料を払う旨の記載がある場合は、法的義務が発生します。仮に、賃貸借契約書に更新料に関する記載がなく、更新料を求められた場合、支払わないことは可能ですが、トラブルを避けるために、必ず契約前に賃貸借契約書をよく読み、大家さんや不動産仲介会社に確認をしておくことが大切です。
更新料を払うことになっている物件でも、経済的事情などで支払いが困難という場合には、減額や分割払いに応じてくれる大家さんもいます。大家さんとしては更新料の支払いを避けるために引っ越されてしまうのは大きな痛手です。住み続けてもらう方が大家さんの安定収入につながるので、対応してくれる場合があります。
ただし、減額や分割払いなどの交渉をする場合は、極力、早い時期に大家さんや不動産会社に連絡するのがマナーです。万一、支払いが遅れてしまうと遅延利息を請求されるケースもあるので注意しましょう。
更新料が家賃の1か月分ともなると、なかなかの出費です。それなら、更新料の分を敷金に充てて、引っ越そうかなと思う人も多いことでしょう。しかし、更新料のある地域に住んでいる以上、その地域から離れない限り、更新料のない物件を探すのは大変かもしれません。ただし、しっかりと調べて更新料なしの物件をさがすことは可能です。まずは「更新料なし」を条件に検索してみたり、不動産会社に聞いてみたりしてみましょう。
首都圏などでは一般的に更新料が必要ですが、都市部以外のエリアで空室の多い物件を当たってみましょう。空室の多い物件では更新料なしにしてでも入居者を集めたいという物件は一定数存在します。また、もともと更新契約ではない「定期借家契約」の物件やマンスリーマンション等の短期契約物件では更新料はかかりません。もしくは、UR賃貸物件や住宅金融支援機構の物件は、国策に基づいて構築された物件であるため、更新料の設定がありません。
いかがでしたか?賃貸借契約書をよく読まずに契約してしまい更新通知に慌てる人は少なくありません。実際のところ更新料を支払っている世帯は40%程度というデータもあり、人口減少のため更新料なしで設定している物件が増えているのも事実ですが、引越しの際には更新料の有無についてもしっかりチェックしておきましょう。
国土交通省 住宅局
令和4年度 住宅市場動向調査報告書
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