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「瑕疵（かし）保険」の仕組みを知っておこう 不動産関連情報

新築物件の高騰や環境意識の高まりもあり、中古物件を購入して引越しするケースが増加しています。そんな時に注目したいのが「瑕疵（かし）保険」です。万が一、引越ししてから引き渡し後に欠陥が見つかった場合に無償で修理してもらえる保険です。新築物件には義務付けられていますが、中古物件には義務付けられていないため、購入の際に加入状況を確認することが安心につながります。

瑕疵（かし）とは、通常想定される品質や性能を有していないことです。住宅の中でも特に構造上の主要部分や、雨水の漏れ防止部分などに重大な欠陥があることを意味します。 中古物件を購入して引っ越しした時に、何かしらの欠陥があったら大問題です。

瑕疵（かし）保険とは、中古住宅購入後に発生した住宅のトラブルについて保険金を支給してくれる、住宅の検査と保障がセットになった仕組みのことです。
新築分譲住宅は築後10年間の瑕疵担保（不具合の保証）が義務化されていますが、中古住宅にはそのような制度がありません。それを補うのが瑕疵保険なのです。ただし、すべての欠陥が保証されるわけではないので注意が必要です。

対象となるのは、柱や基礎など「構造耐力上主要な部分」や、屋根や外壁など「雨水の浸入を防止する部分」という建物の主要な箇所に限られています。また保険の種類によっても異なりますが、支払限度額は一戸当たり500万～1000万円が相場で、無制限というわけではない点にも気をつけなければなりません。

瑕疵保険は、中古住宅の売買やリフォーム工事を対象としたものなど、さまざまな種類が提供されています。
例えば、新築住宅を供給する建設業者・宅建業者が加入し、住宅の基本構造部分を対象とする「新築住宅瑕疵保険」。「新築住宅瑕疵保険」の保険期間が終了した後も継続して保証を提供する場合などに、住宅事業者が加入し、住宅の基本構造部分等を対象とする「延長瑕疵保険」もあります。

そのほか、リフォーム工事実施部分を対象とする「リフォーム瑕疵保険」、マンションなどの共同住宅の大規模修繕工事を請け負う工事業者が加入し、修繕工事実施部分を対象とする「大規模修繕瑕疵保険」、中古住宅（既存住宅）の売買時に加入する保険「既存住宅売買瑕疵保険」などがあります。

瑕疵保険は住宅購入者等の保護を目的としています。瑕疵保険に加入するのは建設業者や宅建業者をはじめとした住宅事業者です。ただし、検査や審査に合格しなければ、瑕疵保険には加入できません。また、住宅事業者が倒産などした場合には、住宅購入者等が保険法人に直接保険金を請求できる、直接請求という仕組みもあリます。

●メリット１：建物の欠陥や不具合を保険金で補える

瑕疵保険最大のメリットは、中古住宅を購入して引っ越した後に見つかった不具合を保険金で手当てできる経済的なケアです。
住宅は、経年とともに劣化するため、適切にメンテナンスをしながら維持していかなければなりません。ですが、中古住宅を購入するとき、どのような状態にあるのかを第三者が完全に把握することはきわめて難しいものです。つまり、何も対策をしなければ、不具合や欠陥など「契約不適合」を備えた中古住宅を購入してしまうマイナスの可能性があるのです。万が一、引越をして新しい生活が始まった後に「契約不適合」が見つかり、その保証が得られない場合は、経済的なリスクとなります。そのリスクを補う方法のひとつが瑕疵保険への加入といえるのです。

●メリット２：住宅ローン控除の対象になる

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、一定の要件を満たすことで、ローン残高に応じて所得税の還付を受けられる制度のことです。ただし、住宅ローン控除の対象になるのは、1981年（昭和56）年6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」の建物であることが大前提です。それ以前の「旧耐震」物件は瑕疵保険に加入できないので注意が必要です。

●注意点１：加入には事前の検査が必要

瑕疵保険を利用するためには、検査事業者による検査に合格する必要があります。もしクリアできなかった場合は、不合格箇所の補修後に再検査を受けることが可能です。再検査で合格すれば、瑕疵保険に適合することができます。

●注意点２： 保険ですべての不具合・欠陥をカバーできるわけではない

瑕疵保険を利用すると、引き渡し後に「構造耐力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」で不具合が発覚したときに限り、保険金を補修費用にあてることができます。そのため、すべての不具合や欠陥がカバーできるわけではありません。例えば、構造に関係のない床鳴りや結露による腐食、構造と関係のないひび割れなどは、補償対象外になるので注意が必要です。