引越しをすると決めたなら、できれば落ち着いて長く住みたいと考える人は多いかと思います。
そんな中、光熱費を抑えることのできる「省エネ賃貸」が人気となっています。省エネ住宅とはいったいどんな物件なのか見ていきましょう。
省エネ住宅とは、エネルギー消費が少ない住宅のことを指します。エネルギー消費といっても単に電気やガスの消費だけではありません。天井や床、壁に断熱材を入れることで結露の発生を防いだり、気密性の高いサッシを使うことで冷暖房効率が上がる住宅も省エネ住宅と言えます。
省エネ賃貸物件が増えてきているのは、環境省が2018年7月2日に二次公募を開始した「賃貸住宅における省CO2促進モデル事業」の影響があるとされています。
これは省エネ性能を備えた賃貸住宅の建築・改修に補助金を割り当てるもので、2016年より始まっています。
省エネ住宅を選ぶ上で知っておきたいのが、「エコウィル」「エネファーム」という言葉。これらは「コージェネレーションシステム」と言って、燃料電池やガスエンジンを使って発電を行うと同時にその排熱を利用して給湯を行うシステムのことです。
つまり、もともと日常で使うガスで発生した熱を使って発電もするので、電気料金の軽減につながるエコシステムです。似たシステムには「エコジョーズ」や「エコキュート」というのもあります。以下に、4つの特徴をまとめて表にしてみますので、省エネ住宅に引っ越す際にはどのシステムを使用しているのか調べてみても良いでしょう。
エネファーム | エコウィル | エコジョーズ | エコキュート | |
システム | 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム | 家庭用ガスコージェネレーションシステム | 潜熱回収型ガス給湯器 | 家庭用ヒートポンプ式給湯器 |
動力 | ガス | ガス | ガス | 電気 |
発電/給湯 | あり/あり | あり/あり | なし/あり | なし/あり |
価格 | 200~250万円前後 | 80~90万円前後 | 13~25万円前後 | 35~40万円前後 |
主なメーカー | パナソニック 東芝 |
ノーリツ 本田技研工業 |
リンナイ パロマ |
三菱電機 日立 |
エネファーム | エコウィル | |
システム | 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム | 家庭用ガスコージェネレーションシステム |
動力 | ガス | ガス |
発電/給湯 | あり/あり | あり/あり |
価格 | 200~250万円前後 | 80~90万円前後 |
主な メーカー |
パナソニック 東芝 |
ノーリツ 本田技研工業 |
エコジョーズ | エコキュート | |
システム | 潜熱回収型ガス給湯器 | 家庭用ヒートポンプ式給湯器 |
動力 | ガス | 電気 |
発電/給湯 | なし/あり | なし/あり |
価格 | 13~25万円前後 | 35~40万円前後 |
主な メーカー |
リンナイ パロマ |
三菱電機 日立 |
この表を見ると、エネファームを使っている住宅はやはり初期費用が高くついているため、家賃や住宅価格が高くなっている可能性があります。また、エコジョーズやエコキュートなどは給湯器を変更するだけなので、賃貸物件によく見られますが、やはり省エネ住宅じゃない物件よりも家賃が高めに設定されている可能性があります。
ただし、年間の電気代の節約を考えると、長く住むほど電気代は安くなると言えるでしょう。
省エネ住宅のメリットは理解できたかと思いますが、実際のところ省エネ賃貸物件を探すにはどうすれば良いのでしょうか?その答えは、とにかくできるだけ新築のマンションに住むことです。
というのも、2015年7月に制定された「建築物省エネ法」が年々省エネ志向を強めており、2015年7月以降に着工したマンションは省エネ適合判定基準に合致しない場合、勧告や命令がくだされ、着工できない可能性があるので、新築のマンションは省エネ対策が十分に取られているためです。
この法律は2017年にも改正され、2020年には、従来、非住宅の建物などに適合義務化をしいていた基準を住宅にも義務化する運びとなっており、新しい物件ほど省エネ化が進んでいることが明確になっています。
引っ越しをする際、できれば省エネ物件を探したいですよね。不動産情報サイトではエコキュートやエコジョーズなどが完備されていることを明記していることもありますが、改めて内見の時のチェックポイントをおさらいしておきましょう。
●給湯設備および暖房をチェック
給湯設備が「エコジョーズ」「エコキュート」などの省エネ設備が設置されているかどうかをチェックしましょう。同時に一見しただけではわかりにくいエネファームやエコウィルを使っているかどうかについては、不動産仲介業者に質問すると良いでしょう。
●断熱性について
断熱性が高い住宅は、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。ここはウリのポイントとなるので、不動産業者に聞けばアピールしてくれるはずです。断熱方法は見た目ではわからないだけにしっかりと聞いておきたいところです。
●窓は触って確かめる
部屋の温度を保つために重要な鍵となるのが「窓」。サッシがアルミのところが多いですが、樹脂製であれば省エネ志向の高い住宅と言えるでしょう。また寒冷地などでは1つの窓にガラスを3枚使うなどの工夫もされているのでチェックしましょう。また、窓ガラス自体の断熱性能を体感するには、実際に触ってみて自分のぬくもりが感じられればOKです。
●風通しの良さをチェック
風通しは、冬の結露や夏場のカビを防ぐ上で重要なポイントです。内見の際も実際に窓を開けて、風の流れなどをチェックしましょう。
いかがでしたか?賃貸でも増えている省エネ住宅はこれから引っ越しを考える人にとっては、とても重要なポイントとなってくるでしょう。長く住めば住むほど電気代の軽減にもつながる省エネ住宅。みなさんもぜひ引っ越しの際は検討してみてください。
不動産関連情報
- 引越しをする時のことも考えよう。お部屋探しの時に注意したい10のコツ
- 不動産会社選びのポイント
- お部屋をチェックする際に重要なこと
- お部屋探しは住環境も含めて検討しましょう
- 物件(部屋)を契約する際の注意点
- フリーレントに敷金ゼロ?引越し時の初期費用を抑える方法とは?
- 知っておきたい!引越し“専門”用語集
- 分譲賃貸に引越しする際に知っておきたいメリット、デメリット
- 更新料が高いなら引越しも考える?賃貸物件の更新料って払わなければならないもの?
- 引越す前に知っておきたいマンションで暮らす時の基本ルール
- 引越しを考えるなら覚えておこう家具・家電付き住宅のメリット・デメリット
- 新居に引越しする時は要注意!マンション選びをするなら民泊禁止かどうか確認しよう
- 宅配ボックス、床暖房、24時間ゴミ出しも今や普通?引越しするなら、付加価値のある快適なお部屋で暮らしたい
- せっかく引越しするならDIYできる賃貸物件を選びたい
- 広くて快適な引越し先を選ぶなら。「団地賃貸」が1つのキーワード
- マンションの1階に引越しはありか?なしか?メリットとデメリットを考えてみる
- 賃貸物件へ引越しするなら必要です!「入居審査」って何を調べられる?落ちることはあるの?
- 南向きがベスト?北向きは家賃が安い?賃貸物件に引っ越すときに考えたい日当たりのこと
- 引っ越すならインターネット無料がいい?それは本当?今一度、メリット・デメリットを考えてみよう
- 引越しするならできるだけ長く住みたい。賃貸にも広がる「省エネ住宅」
- 引越しするなら景色がいいところに!マンションの最上階に住むメリット&デメリット
- 女性が引越しする時は気をつけて!最低限知っておきたい一人暮らしの防犯対策
- 引越しするなら住んでみたい!?ロフト、メゾネット物件のメリット&デメリット
- 台風の被害状況から見えた、引越し先としてのマンションの選び方
- シェアハウスとどう違う!?引越し先の新しい選択「ソーシャルアパートメント」
- 毎日ピクニックができるから幸せ!?公園近くに引っ越す際に知っておきたいこと
- 消費増税で家の購入や家賃はどうなる!?消費増税前の引越しで知っておきたいこと
- 一人暮らしから同棲やシェアを始めても問題ない?!引越しする前に知っておきたい賃貸契約の正しい知識
- 引越しをきっかけに、物を持たない生活をスタート?「サブスクリプション」サービスで考える新しい暮らし方
- エアコン、パソコン、植物、ウォーターサーバー。これって、引越し業者は普通に運搬してくれるもの?
- キレイにリノベーションしてあるから何も問題なし?リノベーション物件に引越す際に注意したいことまとめ
- 出産を機に新居を見つけてお引越し。新居選びで気をつけたいこと
- 女性の一人暮らし。引越しするなら治安の良い場所を選びたい!
- 次の引越しでいよいよ決断。「一戸建て」と「マンション」。どちらのメリットが多い?
- 引越しするなら自分に合ったところに住みたい!どんどん進化する「コンセプト賃貸」で自分らしい生活を
- 引越しを考えるなら調べておきたい。防災のためのハザードマップ
- 引越しするなら、タワーマンションか、低層マンションか。それぞれのメリット、デメリットとは?
- 引越しする時は気をつけて!寒いマンションと暖かいマンションの見分け方
- 引っ越す時は必ず確認しよう。「旧耐震」「新耐震」の基準について
- 「ベランダ」「バルコニー」「テラス」って何が違うの?引っ越す前に知っておきたい賃貸物件の基礎知識
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語①【家探し編】
- 通勤時間はもはや関係ない?テレワーク(リモートワーク)で変わり始めた引越しの条件
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語②【費用と資金編】
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語③【建築・設計編】
- 次の引越しでいよいよ新居購入。知っておきたい住宅ローンの基礎知識
- 次の引越しでマイホームに住む!一戸建て住宅を建てる前に知っておきたい不動産用語④【間取り&住宅設備編】
- 新しい引越し先にいいかも!1階が店舗になっている賃貸マンションのメリット・デメリットとは?
- 郊外への引越しを考えるなら。特長ある「再生団地」が気になる
- フローリング、クッションフロア、フロアタイル。引越す前に知っておきたい賃貸物件の床材の違いって?
- 戸建てに引っ越すならエネルギーの有効活用がマスト?最近話題のスマートハウスとは?
- マンションに引越すなら知っておきたい。大規模修繕計画のこと
- 入居者が主体となる集合住宅。「コーポラティブハウス」とは?
- 引っ越すならどっち?管理人が常駐するマンション・いないマンション
- 高架下に引越しできる時代が来た!?「高架下賃貸物件」の良いところ、心配なところ
- 次の引越し先は「木造マンション」?今、木のマンションが注目されている理由
- 賃貸借契約の更新通知が来た。これは引越すタイミング?それとも更新?
- 新築一戸建てへのお引越しなら、知っておいたほうがいい「ZEH」とは?
- 事件が起きてからでは遅い!引っ越す前に一軒家の防犯対策をきちんと考える
- 引越しするなら検討したい。憧れのルーフバルコニー付き物件
- 引っ越しするなら、駐車場選びのポイントを知っておきましょう
- オール電化とガス併用。引っ越し先として選ぶならどっちが良い?
- サウナ付き、小商い付き、家庭菜園付き自分の理想を叶えてくれる「コンセプト賃貸」に引っ越したい!
- 家を建てて引越しするなら!コンパクトな平屋が注目される理由
- 結婚を機に新居を購入して引っ越し。知っておきたい「ペアローン」のこと
- 引越しを考えているなら知っておきたい住民トラブルを避けるための物件選び
- 引越しする時に検討したい。電気とガスをまとめるセットプラン
- 「カーシェア」「シェアサイクル」「モビリティシェア」。引っ越すなら移動手段に困らないマンションに住みたい
- マンションから引越す時に考えてみる「マンション投資」のこと
- 引っ越すならどっち? エアコン暖房のマンションか床暖房のマンションか
- 電気代節約につなげるなら「省エネ性能ラベル」を見て引越し先を選ぶ時代が来る
- 賃貸物件のエアコンが故障したら誰が直す?引っ越す時の契約内容の確認が大事
- 「定期借家」「普通借家」って何?引っ越す前に知っておきたい契約の違い
- 中古物件を購入して引越しするなら「瑕疵(かし)保険」の仕組みを知っておこう
- 引越しを検討するなら知っておきたい「液状化現象」のこと
- 六曜や風水を参考にしながら引越しで運気をアップさせる方法
- 引越す前に知っておきたい。家賃値上げに対応する方法
- 引越す際に視野に入れたい。初期費用や家賃をクレジットカード決済するメリット
- 引越す時こそ考えよう。電気代を抑えるために必要なこと
- おもしろい形の集合住宅に引っ越してみたい。「テラスハウス」「タウンハウス」ってどんな共同住宅?
- 引越しする場所の水道水は安心できる?知っておきたいPFAS(ピーファス)汚染のこと
- 引っ越す時は、暑さ対策も考えて!熱帯夜を乗り切るためのマンションの選び方と対策
- 蛍光灯?LED照明? 引越し先を決めるときは省エネを考えて照明をチェック
- 引っ越しを検討しているなら知っておきたい「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」のこと