マンションに引越して長く住んでいると、マンションの外壁工事をはじめとする「大規模修繕」を経験します。マンションは年月とともにどうしてもさまざまな機能や性能が劣化してきますので、マンション全体を修繕しなければいけません。
国土交通省もマンションオーナーのための「長期修繕計画策定ガイドライン」を発行しており、そこで12年に1度の大規模修繕を推奨しています。いつかは必ず直面する大規模修繕ですが、住民にはどのような影響があるのでしょうか?
マンションに長く快適に住むには、定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持、向上させていく必要があります。そのため、マンションでは12年に1度のペースで大規模な修繕を行っています。
マンションも古くなると建て替えが必要になりますが、マンションの建て替え時期は築60年が目安とされており、その間にも何度か大規模修繕を行っています。劣化具合や修繕具合によって期間は変わりますが、国土交通省では12年に1度を目安としているため、12年に1度というのが一般化しています。
【大規模修繕を行う目的】
・快適な住環境の維持
・安全性の確保
・資産価値低下の抑制
大規模修繕は廊下、階段、エントランス、エレベーター、外壁など基本的に共用部分を対象に実施されますが、新築から12年後の第1回目の大規模修繕は外壁の修繕がメインとなります。その後、回数を重ねるに連れて、修繕範囲が多岐にわたっていきます。
また、大規模修繕と同時に改修も行われ、例えば、照明をLEDに替える、宅配ボックスを設置するなど時代に合わせてアップデートしていきます。
それでは、大規模修繕ではどのような箇所を修繕するのか、主なものをまとめてみます。
●外壁
外壁のタイルが剥がれ落ちると、歩行者が怪我をする可能性があるので、外壁が最初に修繕されます。また、塗装の塗り替えは見映えだけでなく、コンクリートを風雨から守る役割もあります。
●屋根・屋上
屋根や屋上は経年劣化で防水機能が弱まります。雨漏りなどが起きないようひび割れを直すなどの防水工事が必要となります。また、マンションの屋上だけではなく、各階バルコニーの屋根も修繕対象になります。
●鉄部
廊下や階段の手すり、共有部分のドアやサッシといった鉄部は錆びやすいので、サビを防止する塗料を塗ったり、交換、補強工事を行ったりします。
●バルコニー
バルコニーは自分の部屋の一部と考えられがちですが、専有利用を認められた共用部です。主に防水工事が行われ、避難ハッチ(はしご)の点検・修繕も行われます。
大規模修繕が始まると、住民も工事に協力するためにいろいろと気をつけなければいけないことがあります。以下に主なものをまとめます。
●バルコニーの片付け
バルコニーは法律上、共用部分なので修繕工事が入ります。バルコニーに物置や植木鉢、物干し台などが置いてあると、修繕工事作業がスムーズにできなくなります。そのため、工事が始まる前にバルコニーに置いてある物を片付けなければなりません。バルコニーに置いてある物は一時的に室内やその他倉庫で保管、処分することが推奨されます。植木鉢などの植物は管理組合が一時保管してくれる場合もあるので、工事前に相談してみましょう。また、バルコニー工事では、サッシ周りの塗装工事や防水工事などを実施するため、網戸を取り外さなくてはなりません。事前に取り外しておき、部屋の中で一時的に保管することになります。
●外壁工事中の洗濯について
大規模修繕工事では外壁を修繕する際、バルコニーをすべてビニールの養生で覆い、バルコニーがほぼ使えない状態になります。そのため、洗濯物の乾燥は室内で行うか共用の乾燥機などを使用しないといけません。マンションによって告知方法が異なりますが、自分の部屋があるエリアがいつごろ工事に入るのかを確認しておきましょう。
●エレベーターのリニューアル時期については要確認
エレベーターの取替工事は20~25年のスパンで行われ、マンションの大規模修繕の中でも最大規模の工事となります。工事期間もおよそ1ヶ月と長期にわたるため、仮にマンションに1つしかエレベーターがない場合は、施工会社が用意する昇降機または階段を使わざるを得ません。車イスが必要な人や高齢者がいる場合は、入居前に必ず大規模修繕計画について確認しておきましょう。
分譲マンションを購入する際に必要な「修繕積立金」は、大規模修繕を見越して毎月積み立てられる徴収金のことです。管理費とは別に月額6,000円~1万円程度が徴収されます。新築マンションに入居する場合には、「修繕積立基金」として数十万円程度を徴収されるのが一般的です。
中古マンションを購入した人は、時期によって購入後すぐに修繕積立金が増額されることもあるので、修繕積立金の増額予定を確認してから契約することをおすすめします。なお、修繕積立金の増額は、理事会で話し合われてから決まります。マンション住民には理事会での議事録が配布され事前に通達されます。
いかがでしたか?マンションの大規模修繕について紹介しましたが、新築マンションを購入した時にはあまり意識していなかった修繕積立金も、長く住んでいると負担になってくることもあるので、マンションに引っ越す際には、事前確認を怠らないよう気をつけましょう。
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