結婚して引越しを考える人にはありがたい?「結婚新生活支援事業」の仕組みとは?
結婚と同時に引越しを考える人は多いですが、結婚には引っ越し以外にもいろいろなお金がかかります。そのため、経済的な問題から結婚をためらうという人も少なくありません。
そんな中、内閣府は2020年9月20日、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など、新生活にかかる費用を補助する「結婚新生活支援事業」の要件緩和と補助金の上限を上げることを発表しました。これにより2021年4月以降、補助金の上限額が現行の30万円から、60万円になりました。そこで今回は、2024年時点での「結婚新生活支援事業補助金」の仕組みについて解説します。
結婚新生活支援事業は、現代の日本社会が抱える「少子化問題」への取り組みとして、結婚を希望する人が希望する年齢で結婚を叶えられるよう環境を整備することが目的です。とはいえ、結婚さえすれば誰でも補助金を受けられるわけではなく、対象となる要件が決まっています。2021年4月からはその要件が緩和されて注目を集めましたが、実際どのように緩和されたのか比較してみましょう。
【2021年3月31日までの対象要件】
1.住んでいる市町村が結婚新生活支援事業を行っていること
2.年齢:婚姻日の年齢が夫婦とも満34歳以下
3.年収:世帯年収が約480万円未満
4.上限金額:30万円
【2021年4月1日以降の対象要件】
1.住んでいる市町村が結婚新生活支援事業を行っていること
2.年齢:婚姻日の年齢が夫婦とも満39歳以下
3.年収:世帯年収が約540万円未満
4.上限金額:60万円
※夫婦ともに婚姻日時点で29歳以下の場合、1世帯あたり上限60万円
それ以外の世帯は、1世帯あたり上限30万円
※実施する自治体によって年齢条件や金額が異なる場合があります。
緩和された要件をまとめると、年齢と年収の幅が広がり、補助金の上限額が倍増したということになります。もらえる人の要件が緩和され、おまけに金額まで上がるのはうれしい話です。
要件をすべてクリアした新婚世帯が受けられる「結婚新生活支援事業の補助金」ですが、いったいどのような費用が対象になるのでしょうか。それは主に「新居の住居費」と「新居への引越し費用」となっています。
【新居の住居費】
①新居の購入費
※一軒家やマンションなどの建物の購入費用。土地購入代や住宅ローン手数料などは基本含まれない。
②新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料
③新居のリフォーム費用
※住宅(賃貸物件を含む)の修繕、増築、改築、設備更新等の改修を行った費用。
【新居への引越し費用】
④引っ越し業者や運送業者に支払った引っ越し費用
※運輸局の許可を受けた引越業者または運送業者へ支払った費用。レンタカー代や不用品の処分代は基本含まれない。
もちろん、すべて含めて上限60万円ですが、各市町村によって条件が異なります。
例えば愛知県岡崎市では、
・夫婦ともに岡崎市税を滞納していないこと
・申請日より2年以上継続して岡崎市内に住み続ける意思があること
など一定の決まりがあります。これらの条件は市町村で異なるので、各市町村のホームページなどで調べてから申請するようにしましょう。
要件の中で気になるのは、「住んでいる市町村が結婚新生活支援事業を行っている」という点。つまり対象地域に住んでいなければ補助金は受給できないので、注意が必要です。では、どの市町村が結婚新生活支援事業を行っているかご存知でしょうか?
2024年5月の時点で、結婚新生活支援事業を実施しているのは842市区町村となっています。
東京都や神奈川県、大阪府といった大都市圏での実施地域は少なく、北海道、東北、北信越、中四国地方に多いのが特徴となっています。
県庁所在地のある都市で結婚新生活支援事業を実施しているのは、宮城県仙台市、秋田県秋田市、山形県山形市、福島県福島市、茨城県水戸市、栃木県宇都宮市、千葉県千葉市、新潟県新潟市、福井県福井市、山梨県甲府市、長野県長野市、岐阜県岐阜市、静岡県静岡市、滋賀県大津市、和歌山県和歌山市、愛媛県松山市、高知県高知市の17市となっています。
なお、結婚新生活支援事業を実施している市町村リストはこども家庭庁のホームページに掲載されているので、気になる人はチェックしてみましょう。
令和6年度
地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)交付自治体一覧
「結婚新生活支援事業費の補助金」を受け取るためは、申請用紙と必要書類を対象の市区町村に提出します。
必要な書類は市区町村ごとに異なる場合があるので、事前に市区町村のホームページをチェックするようにしましょう。
●申請の手順
①各種証明書をそろえる
・婚姻届受理証明書や入籍後の戸籍謄本(婚姻を証明するもの)
・住民票 ・所得証明書 など
②結婚新生活支援補助金の申請書を記入
・市区町村ごとに申請書フォーマットが異なります。
※各自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。
③補助してほしい費用についての書類を用意する
・物件の売買契約書及び領収書の写し(住宅を購入した場合)
・物件の賃貸借契約書及び領収書の写し(住居を賃貸している場合)
・物件の工事請負契約書及び領収書の写し(リフォームした場合)
・引っ越し費用などの領収書の写しなど(引越しをした場合)
④書類一式を市区町村の窓口に提出して申請する
要件が緩和され交付自治体も増えつつある結婚新生活支援事業ですが、良いことばかりではなさそうです。ここでは注目すべき点と、注意しておきたいポイントを挙げておきます。
【注目点】
●リモートワークの促進
コロナ禍以降、働き方改革が推進されるようになり、リモートワークを採用する会社も増えました。これを受けて、結婚新生活支援事業を行っている対象地域への引っ越しがしやすくなったのはメリットと言えるでしょう。
●過疎化地域への貢献と田舎暮らしの実現
結婚新生活支援事業を行っている多くの地域は、若い人に転居してもらい人口を増やして活性化したいという狙いがあります。また、近年は大都市を離れて田舎暮らしをしたいという夫婦も増えています。田舎暮らしの引越し先で迷っているなら、結婚新生活支援事業を行っている地域に引っ越してみようと考える方も多いでしょう。
●大都市への通勤可能な地域も対象
東京都23区や大阪市など、経済の中心地が対象から外れていることもあり、がっかりしたという人もいるかもしれませんが、東京都への通勤圏内でもある千葉県千葉市や船橋市、埼玉県川口市、神奈川県相模原市、名古屋市への通勤圏内でもある愛知県小牧市や豊田市、大阪市への通勤圏内である枚方市や松原市などもあるので、検討してみましょう。
【注意点】
●対象要件の落とし穴
補助金の上限額が倍増した結婚新生活支援事業ですが、例えば世帯年収約500万円未満という条件は冷静に考えれば、共働き夫婦ならば、夫婦が各々250万円未満ということになります。現在の晩婚化に照らし合わせれば、世帯年収500万円未満というのは、正社員で働く人の多くが対象外となる可能性があります。
また「上限60万円」というのも、市町村によって条件は異なりますが、「賃借費用の2分の1まで」といった条件を設定している場合もありますので、きちんとシミュレーションをした上で、結婚や引越しを検討するようにしましょう。
「結婚新生活支援事業」は、結婚を機に引っ越しを考えている人にとっては魅力的な政策と言えますが、あくまで「結婚したら60万円もらえる!」という制度ではないので注意したいところです。いずれにしても、補助金を受けられるのはありがたい話。対象要件に当てはまる夫婦は積極的に申請してみましょう。
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