コロナ禍における新しい引越し先の見つけ方。「Web完結」のお部屋探し
長引くコロナ禍によって、さまざまな業種でオンライン化が急速に広まりました。そんな中、物件の内覧から契約までをすべてオンラインで行う「来店不要のお部屋探し」が増えつつあります。
オンラインでお部屋探しが完結できるというのは、特に遠方への引越しを検討している人にもメリットがありそうです。そこで今回は「Web完結のお部屋探し」についてご紹介します。
例えば賃貸マンションを借りる際、これまでは最低2度は不動産仲介会社を訪れる必要がありました。それは物件の内覧の時と契約締結の時です。そのため、Webで完結できるなんて本当?と思うかもしれませんが、今はそれが可能になっています。
いったいどのような仕組みになっているのか、主な流れを紹介します。
1.候補の部屋探し:賃貸情報サイトなどから部屋を探す
部屋の探し方は、従来どおり賃貸情報サイトなどで情報収集している人がほとんどです。
2.オンライン接客
内見したい部屋が決まったら、不動産仲介会社にメールや電話で連絡すると、改めてLINEやZoomなどを使って案内をしてくれます。希望条件なども伝えて改めて候補となる部屋をその場で探してくれる場合もあります。気に入った物件が決まったらオンライン内見の予約をします。
3.オンライン内見
オンライン内見当日は基本、自宅等で待機します。その上で不動産仲介会社のスタッフが候補物件に行き、ビデオチャット・ツールを通じて、部屋を閲覧させてくれます。その場で質問があれば、聞くことができるほか、会社によってはVRキットが自宅に送られ、自由な時間にVR内見ができる場合もあります。
4.入居申込・審査
内見が終わり、その物件が気に入れば入居申込書を不動産会社から郵送してもらい、必要事項を記入し、必要書類を添付して返送し審査を待ちます。2~3日から1週間ほどで審査結果の連絡が来ます。
5.IT重説
IT重説とは、IT技術を活用した「重要事項説明」のことです。従来は宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引士が契約における重要事項を対面にて行うのが通例でしたが、このコロナ禍でそれが困難となったことで、政府が法改正を行い、ビデオ通話などを利用して重要項目説明を行えるようになりました。
6.契約書の郵送
重要事項説明を受け、すべてに納得できたら契約へと進みます。契約書は自宅まで郵送してくれます。自宅で記入・捺印などを行い、返送すれば、基本契約は締結となります。
7.前家賃など初期費用の支払い
敷金・礼金や前家賃、仲介手数料など初期費用は入居前に支払う必要がありますが、こちらもインターネットバンキングで支払えば問題ありません。
8.鍵の郵送
すべての手続きが終われば、新居の鍵を郵送で送ってくれます。鍵は非常に大切なものですから、不在の場合は宅配ボックスなどを利用すると良いでしょう。
IT重説はオンライン重説とも言われ、ITを活用した重要事項説明のことです。このIT重説がなぜこれからの引っ越しにおいてキーワードになるでしょうか?
面倒な書類手続きはなるべく簡潔に済ませたいと思う人も多いでしょうが、重要事項説明は、不動産売買または賃貸の契約締結において実は最も重要な確認作業と言えます。
なぜならば重要項目説明は宅地建物取引業法によって定められているためで、これを無視して賃貸や売買の契約はできません。
重要事項説明は、例えばPL法(製造物責任法)にも似ているところがあります。家電製品を買ったが、取扱説明書を読まずに誤った使い方をして破損した、または使った人が怪我をしたといった場合、そのような不具合があることを明記していることで法的に損害賠償を請求できない場合があります。これが小さな家電などであればいいですが、不動産となったらどうでしょうか?
不動産における契約には多額な金銭が関わってくるので、簡素化や簡略化を是としない潮流がありました。理由として重要事項説明は、宅地建物取引士という国家資格を有した者と本人確認のできる顧客が対面して行うもので、オンラインの場合、本人確認が完全ではない可能性があるため、これまでは対面が重要視されていたのです。
しかし、印鑑の廃止や各業種でのオンライン化の波と新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、令和2年には不動産売買においてもIT重説を可能とする法案が暫定的に決まり、今後はその方向に変わっていくとされています。
これまで遠方からの不動産売買や賃貸での引っ越しにおいて、出向かなくてはいけないという大きな労力が必要なくなったのは消費者にとっては大きなメリットになることでしょう。
Webで完結できるようになった「お部屋探し」ですが、やはり注意しなければいけない点もあります。
●オンライン内見で隅々までは確認できない
実際に現地で物件を見た場合と、オンライン内見ではやはり見た目に違いがあります。全体を把握する上でオンライン内見はとても便利ですが、トラブルにならないよう物件の隅々までしっかり見たいという方は、現地での内見をした方が良いでしょう。
●IT環境を整える必要がある
IT重説を含め、今後はさまざまなシーンでオンライン化が進んできます。パソコンやスマホの扱いが苦手という人もいるでしょうが、そうは言っていられなくなるので、今から慣れておくことが大切です。
また、遠隔地や山間に住む人にはWebでのお部屋探しはとても有益ですが、インターネット環境が整っていないとオンライン内見などで電波が途切れたりする場合もあるのでネット環境についても事前にチェックしておきましょう。
●質問や不明点などがあってもその場で聞くことができない
契約書なども郵送で送ってくれるので簡単だと思いがちですが、担当者が目の前にいるわけではないので、その場で聞けないというのが少し面倒です。物件のことや契約のことでの質問がある場合には、アポを取る必要が出てきます。
また、オンライン内見中は問題ありませんが、後々物件のことで聞きたいことが出てきた際はメールなどの対応になります。そのため、すぐに返事があるわけではないので、その間に気に入っていた物件を他の人に取られるということもあるかもしれません。
◆Web完結での「お部屋探し」は迅速かつ慎重に
オンライン化が進んでかなり便利になってきたお部屋探しですが、慎重になるべきところは慎重に、迅速に行うべきことは迅速に行うのがお部屋探しのコツとなります。ただ、オンラインを上手に使えばとても便利なので、積極的に利用していくと良いでしょう。
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